わらの犬の作品情報・感想・評価 - 4ページ目

「わらの犬」に投稿された感想・評価

真夜中

真夜中の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

暴力の蔓延するアメリカを嫌悪し穏やかなイギリスの田舎に逃げてきたにもかかわらず自らの暴力性を爆発させることになってしまう皮肉。結局人間は暴力という呪縛から逃れられないってことか。何の変哲もない男が暴力の世界に己を染めていく(いかざるをえない)過程としてこれほどリアルな映画も無いだろう。マフィアものや犯罪ものなどよりも恐怖と説得力を感じる。奥さんは自業自得かな。冒頭で購入した動物獲りの罠こそ主人公の秘めたるものの象徴。暖炉の上で密かに事の成り行きを見つめ続けクライマックスで妻をレイプした張本人に牙を剥く。主人公の覚醒。ラスト、不条理な怒りに「帰り道」のわからなくなった主人公が本当に哀れだ。
凄い!という点ではペキンパー随一かと思った。
特に籠城戦。カットを繋ぐとはこういうこと。
階段を降りながら引き渡しを提案するスーザン・ジョージに対してダスティン・ホフマンが反論するときのカットを割るタイミングが完璧。
決定的な断絶の瞬間。

終始乾いたシリアスな空気が流れているのに、少佐がショットガンで撃たれるとこだけペキンパーらしくバカみたいに吹っ飛ぶのでクソワロタ。
知性は暴力を越えるのか。


西部劇の印象が強いサム・ペキンパーが描く、現代における暴力の蔓延。
人類が潜在的に備えている暴力性に、人類が築き上げた知性は立ち向かえるのか。

閉鎖的な田舎及び、抑圧された者たちの爆発。
都会の喧騒から逃れ、新たな生活を始めようとしたインテリ夫とおバカな妻。
イビられる夫と、男を誘惑する妻。
すべての事の発端は、いずれも他者たちのぶつかり合いから始まり、なぜか理解し合うという感情は田舎者たちからは感じられずに、最悪の事態へと発展する。

主人公を含め、本作に登場する人物たちはマトモではない。
そもそも性格が合わないであろう夫婦の組み合わせとか、治安が悪すぎる田舎町とか。
キャラ造形が差別的に捉えられそうなところもあるし、暴力描写にも色々言われてるのはわかるなぁ。


本作の舞台はイギリスの田舎ということにはなっているけれど、アメリカという国に置き換えられるような題材。
アメリカンニューシネマとして数えられる作品かは微妙なところ(というか細かい縛りとかない)だが、個人的にはそのくくりのような気がする。
平和主義な主人公と、戦争へと向かわされた若者の姿はどこか被るように思うし、環境により暴力で対抗するしかないというのは、争いの醜さを見せつける。

誰もがみな暴力を批判するが、相手が暴力でかかってきたらそんな言葉は通用しなくなる。
もし人類が言語を失ったなら、そんな世界は広がっていくのか?
人類が発展を遂げた時代に、まだ暴力で制することしかできないのか。
人類がどれだけ成長を遂げたとしても、人間の存在自体は変わらない。
身近なところならいじめ問題だってそうだしね。


ちょいヘタレなインテリさ溢れるホフマンは『卒業』の青年が成長したかのよう。
この頃のホフマンはヘタレインテリ系な印象があるので、そのギャップも狙ってのキャスティングだね。

ラストまで観てどんな感想を抱くかによって、善良な観客ですら備えているかもしれない暴力性を炙り出すような感覚を覚えさせる。
「帰り道がわからない。」
「僕もさ。」
行く末のわからない社会と、暗闇のなか進んでいくしかない現実。
Nasagi

Nasagiの感想・評価

4.0
争いごとを嫌い、アメリカからイギリスの田舎町に越してきたおとなしい数学者の男とその妻が暴力に巻き込まれていく様を描いた映画。

監督のサム・ペキンパーはほんと暴力というものの性質を知り尽くしているというか、見せ方がうまいというか…
「巻き込まれていく」とは書いたものの、おとなしい主人公の中にも、もともと暴力性の端緒みたいなのはあったんだよね、飼い猫にちょっかい出したりとか。それが、田舎の閉鎖的な人間関係のなかで、見世物扱いされたことで反感が募り、妻から「男」として家と彼女を守るよう求められたことで意志が固まり、周りから暴力が迫ってきたことでついに行動に至ると。徐々に暴力性が増長していく過程がとてもうまく表現されていると思う。

作中では、「暴力」とジェンダー的な「男性」性が強く結び付けられていて、妻のエミーからのそれに対する渇望みたいなのも描かれている。ここらへんすごい問題作だなーと思う一方、DVと共依存などの問題を考えると無視できない指摘なのかなあ
あと、主人公の争いごとを避ける性格って、おそらく「男らしさ」の忌避でもあると思うんだけど、だとするとラストの展開はすごい皮肉だなと思う。

とりあえず義憤に駆られた人々が最終的に暴徒と化すパターンはたちが悪いですね。
ルー

ルーの感想・評価

4.0
人間の誰もが持つ弱点を浮き彫りにさせ、心理描写が上手い作品だと思う.
この出来事の発端はどこからだったのか?
元々反りの合わない感じの夫婦.そこに柄の悪い輩がゴロゴロいる町に引っ越して来る.エイミーの潜在意識にある男性への性的な挑発.レイプされると合意なのか被害者なのか理解できない.そのエイミーの夫が主人公のデイビット.デイビットは非暴力主義であるが今までの様に理論的には収まらない状況が起こる.デイビット、エイミー、ヘンリー各々が加害者なのか?被害者なのか?そこが観る側のわたしにも日々起こる理不尽な出来事と重なり面白い.
この作品の見所でもある、サム・ペキンパー監督の表現技法のスローモーションが所々あり大変良かった.
まさに村八分映画。私は田舎出身だけど、田舎の嫌なところがリアルに詰まってて、ああこういうのって日本だけじゃないんだなと思ったりした。
映画としての力はさすがすごいけど、ペキンパーの中ではそれほど好きではない。見終わってグッタリしてしまう。
犬

犬の感想・評価

3.5
ネコ

アメリカから平和を求めてイギリスの片田舎に妻とともに逃れてきた若い数学者がたどる宿命を描くスリラードラマ

なんとも言えない

静かな雰囲気
だけどいろいろ怖い

アクションも多少あり

ラストは凄かった

ダスティン・ホフマンが頑張ってる
奥さんがスゴい印象的でした
1065

1065の感想・評価

3.2
夜霧がきれい

ノーブラ、見せつけの妻、よそ者は村八分、元カレの大工
かまって欲しくて数式にイタズラ
クローゼットのネコ
見つけにくいのは時間とネコ
狩りで置いてけぼり、輪姦
教会パーティー、知的障害の大男と小娘
帰りに大男轢く
お湯、トラバサミ
最後の一人、奥さんも暴力の中に
帰り道がわからない
早紀

早紀の感想・評価

3.0
内容はともかく若い頃のダスティンホフマンがかっこよすぎるんですけど❗️∑(゚Д゚)
He is so sexy💕異性としての魅力がすごい。近所に引っ越してきたら私なら奥さんよりこの旦那さんの方をじろじろ見ちゃう笑

でもこれ嫌な映画。妻の田舎に引っ越してきた主人公に対する住民たちの態度がほんとに感じが悪い。夫は数学者というインテリで妻はセクシーなブロンド美女。この二人の姿が田舎では浮いていたんでしょうけど、主人公が酒場に来るたびニヤニヤして😠

私は妻が好きじゃなかったです。夫が仕事で忙しくて構ってくれない、連れない態度なのが不満なのか彼の仕事の邪魔をするし、無自覚なのかは分からないけど地元の男達を刺激するような真似ばかりする。ノーブラで街に出かけたり、下着が見えるくらい大股で車から降りたり裸で窓辺に立って作業中の男達に見せつけてみたり。レイプされたのは可哀想だと思ったけど正直自業自得かなと思いました。家にも勝手に上げちゃったし、男性からしたら誘われてると思っても仕方ないような気がする。

物語後半は地元の事情がある青年ヘンリーを家に匿ったことにより暴徒と化した住民達と壮絶なバトルを繰り広げるのですが、主人公が「暴力は嫌いだ」と言いながらも音楽をかけながら襲ってきた住民達をボコボコにしていく様は何というか爽快感があって、私は完全にダスティンホフマンの味方でした。

まあなんでそこまでヘンリーにこだわる!?とか妻の言うようにいっそ男達に引き渡したら良いんじゃない?という気持ちにもなりましたが、彼の頭にはヘンリーを守るという使命感よりもただこの憎らしい住民を始末することしか頭になかったのだと思います。暴力を否定しながらも結局は暴力に支配されてしまって、観ている私も嫌いなはずの暴力を楽しんでいた。サムペキンパー監督が言うように暴力と人間は切っても切り離せないとはこのことなのだなと思いましたね。
chaooon

chaooonの感想・評価

3.5
ダスティン・ホフマンのバイオレンスが炸裂!!

スタートから不穏な空気に包まれて緊張感が漂う。他所者やハンディキャップを抱えた者に対する住民たちの非難の視線。閉鎖的で偏見の凝り固まった町の雰囲気に息が詰まる。

ダスティン・ホフマン演じる数学者デイヴィッドと構ってちゃんな妻エイミー。イチャイチャすることもあるかと思えば、次のカットでは噛み合わない2人のギスギスした姿。この2人はなんで結婚したんだろ?って感じてしまう、関係性の違和感。

町の男どもは確かに酷いんだけど、エイミーも半裸やら露出やら、構ってちゃんが過ぎて自業自得。
この頃の映画の特有な肌の質感の映し出し方、独特のエロス。
映画の色味は割と好きだった。
最初に登場した時は、エイミーあんまり可愛く感じなかったけど、後半の打ちのめされて、泣き顔になるにつれてすごく魅力的に感じてしまった。

争いを好まないと言っていたデイヴィッドの終盤の変貌ぶり!
ラストシーンのセリフは鳥肌!!