あまね

ダ・ヴィンチ・コードのあまねのネタバレレビュー・内容・結末

ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ルーブル美術館の館長が射殺され、遺体の傍に謎の暗号が残されていた。
捜査協力を求められた宗教象徴学の専門家であるロバート・ラングレン教授は、しかし、すぐに自分が殺人の容疑者として疑われていることを知る。
館長の孫娘であるソフィーの協力によりその場を切り抜けたラングレンは、フランス司法警察に追われながらも暗号を解き、恐るべき真実を明らかにしていく――。

キリスト教最大の謎である『聖杯』に纏わる陰謀と伝説の物語だ。
聖杯とは何なのか、どんな姿をしていて、どんな意味を持つものなのか、なぜ人は聖杯を求めるのか……もし私がキリスト教徒なら、きっと衝撃を受けたに違いない。
宗教的なしがらみがなかったため、純粋な興味で面白く観ることができた。

尚、ここで述べられている『聖杯』は、あくまでも考え方の一つに過ぎない。

物語は館長の殺人から始まって、次々と現れる暗号を解き、キリスト教最大の謎である『聖杯』の存在と在処に迫っていくというもの。
ひとつの暗号を解く時間がそこまで長くなく、また主役二人が常に追われているということもあり、間延びすることはない。
けれど、あまり苦労せずに解ける暗号と、追われているとはいえ窮地に追い込まれるほどではない状況のため、割とあっさりとした印象だった。

この物語の一番の見どころは、謎の解き方でも、逃亡劇のハラハラさ加減でもなく、《謎》そのものである。
キリスト教にとって衝撃的な内容である聖杯の謎そのものが、一番の見どころであり、すべてだ。
この部分に興味を惹かれればとても面白いし、逆にここにあまり興味を持てなければ映画そのものは随分と色褪せてしまうだろうと感じた。
私は前者で、この解釈はとても面白く、映画が進むにつれて引き込まれていった。

キリスト教の歴史に関わる内容であるため、十字軍の遠征、評議会、秘密結社と専門用語が次々と現れてきて、知識がないため溺れそうになる。
誰がどこに所属して、どんな関係になっているのかと、こんがらがりそうになることも。
このあたりの知識があれば、もっと楽しめると感じた。

ただどうしても、納得できないことがある。
気にしたら負けだと思うが、どうしても気になるのだ。
腹に一発食らって死にかけていた館長が、館内をうろうろして何か所にも暗号を残し、最後は自身をダヴィンチのウィトルウィウス的人体図に模して息絶えるっていうのは……元気な怪我人だな?! と。
原作を読むと、お腹に銃弾を受けた場合は亡くなるまでに相当な時間がかかると説明されているのだが、いやそれにしても動き過ぎじゃない?! そこは館長の使命感なんだろうか……。

キリスト教の聖杯伝説に興味があり、突飛な解釈を面白いと思える人ならば、きっと楽しめるだろうと思う。
逆に、そこに興味がない人は冷めてしまうかもなと感じた。
私は楽しめた。
あまね

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