ひでやん

ファム・ファタールのひでやんのレビュー・感想・評価

ファム・ファタール(2002年製作の映画)
3.9
宝石強盗に関与し、仲間を裏切って逃走した女の運命を描く。

ビリー・ワイルダーの「深夜の告白」から始まり、それをTVで見ている女が平面ブラウン管に映り込む映像が憎い。

カンヌ国際映画祭の会場で、1000万ドルのダイヤのビスチェを偽物とすり替える作戦が始まるが、細い金属の蛇が肌にあるだけのビスチェに思わず笑った。今にも見えそうな…いや、見えちゃってるから殆ど裸。

守衛、用心棒、工作、監視カメラに暗視スコープ、そしてトイレの官能と切り替わる強盗は、オーシャンズ11のように楽しめた。

アントニオ・バンデラスが画面分割の左右に登場し、一方は固定視点、もう一方は引きの画で見せる手法がいい。今作はヒッチコックへのオマージュは抑え、分割とスローが効果的に活かされていた。

別人に成り済まし、第二の人生を生きる女と振り回される男。1枚のスクープ写真で危機に晒されながらも、狡猾に騙す魔性の女。同じ時刻の時計が映る度に違和感を覚えたが、先の展開が読めず終盤で驚いた。

オチだけ見るとありがちだが、二者択一の人生と、それぞれの運命が描かれていたのが良かった。そして伏線の回収が気持ち良かった。
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