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テイク・ディス・ワルツのmiuのレビュー・感想・評価

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)
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どっちつかずは居心地が悪い。失敗したら置いて行かれた気持ちになるから飛行機の乗り継ぎが不安。ふとした木漏れ日の光に泣きそうになってしまう。一瞬我慢すれば、それは消えてなくなるけれど。一度は思ったことがあることを彼女が言葉にしていた。誰も私のことを見ていないその間に私の中で起きていること。それを照らし合わせてくれる人。新しいものは魅力的に見えるけれど、いつかは古くなる。じゃあ古くなった気持ちは、自分の中のごみ箱のフォルダに貯まっていくの?そのままでなんていられるのかな。あんなにこぼれ落ちそうなくらい溢れていた光。うとうとしている時、それを時々空にかざすと幻みたいに思えるの、その背中が今はすごく遠い。私とあなたで全部、大事にできなくてごめんね。
乗り物が左右に揺れて、近づくか近づかないかの瞬間が永遠に思えて、そう、こういう瞬間のために生きているんだろうなと。今この瞬間がずっと続けばいいのにという記憶で満たしたい。けれど残酷にも音楽は鳴り止んでしまうから、また新たなワルツを探すのかもしれない。今だけは。それだけじゃだめなのかな。
おんなごころといえばそれまでなのかもしれないけれど、この満たされなさは少し虚しくて、寂しくて、愛しい。同じことの繰り返しになっても、求め続けるのか、居続けるのか。そんな行ったり来たりで前に進めていたりもするのかもしれない。
"人生なんかどこか物足りなくて当たり前なのよ。それに抵抗するなんてあんたバカよ"って言われてもね。絵葉書とシャワーのあそびごころ。形あるものと形ないもので伝える愛情表現。伝わるかが肝心なのかもしれないけれど、それを積み重ねた日々を思うと胸が苦しくなる。
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