シズヲ

ガンマン無頼のシズヲのレビュー・感想・評価

ガンマン無頼(1966年製作の映画)
3.5
保安官兄弟が復讐のためにメキシコへと赴く渋めのマカロニ・ウエスタン。哀愁漂う主題歌に始まり、クールな悲哀を纏ったフランコ・ネロの魅力がとにかく光る。冒頭から始まる銃撃戦(立ち尽くす賞金稼ぎの背面からネロを映すカメラワークが好き)に加え、背面撃ちや墓穴を掘らされてからの即殺射撃などガンプレイもちょいちょい面白い。重要な立ち位置になるネロの未熟な弟、単なる外道ではない父性を携えた怨敵、めちゃくちゃワルい初登場から意外な一面を見せる市長など登場人物達もけっこう印象に残る。

大筋自体は平凡だし、良くも悪くも無難に出来てる内容なので際立った魅力には欠ける。また典型的なマカロニながら本場西部劇じみた空気が比較的濃いのもあってアクも弱め。それでも兄弟と怨敵の意外な関係性が明かされる下りは面白いし、ラストの決闘から滲み出る哀愁もかっこいい。原題や主題歌のフレーズにもなっている「さらばテキサス」の意味合いが終盤の弟の台詞によって変わるのも印象深い。フランコ・ネロにはやはりニヒルな悲壮感が似合うと改めて思わされる作品だ。
シズヲ

シズヲ