クシーくん

ガンマン無頼のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

ガンマン無頼(1966年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

「続・荒野の用心棒」こと「ジャンゴ」で有名なフランコ・ネロ主演作。

故郷テキサスを離れメキシコで父の仇であるシスコを探すバート(フランコ・ネロ)&ジムのサリバン兄弟による復讐物語。

フランコ・ネロ演じるバートは他のマカロニウエスタン主人公の御多分に漏れずポーカーフェイスでクールなガンマン。ただアンソニー・ステファンのただボーっとしてるだけみたいな精彩の欠く無表情と比べると、殺気と色気とワイルドさが段違いに勝る。

肝心のシスコに辿り着くまでに何度も雑魚と戦っており(それも大して魅力ある戦闘ではない)その過程が実にまだるっこしい。
悪役シスコの行動は割と矛盾だらけで突っ込み始めたらキリがないのだが、どれだけ息子を愛そうが結局根がクソ野郎なので結末が予定調和なのが少し苦しい。実は父親で…という設定は意外性を狙ったものかもしれないが、悪人過ぎて最期が「惨めに殺される」以外の選択の余地が残されていないのだ。どうでもいいけど「私がお前の父親だ!」って告白した後の「嘘だー!!」って流れはどう見てもベイダー卿のそれ。まさかルーカスがこの映画から直接影響された訳でもないだろうが。

女子供を容赦なく殺すのはマカロニならではだが、今回の卑劣役であるリヴィオ・ロレンツォン演じるミゲル市長の下品な笑い方がめっちゃ特徴的。こんな不快な笑い方出来るんだなと演技に感心してしまった。酒をかっ食らいながら暴虐の限りを尽くし、終盤に悲惨な死に方を遂げるフラグ立てまくりのミゲル市長だが最終的には罰を受けずに「市長にも実は悲しい過去が…」みたいな、なあなあな雰囲気で許されてしまった。良いのかそれで。

ラストのガンプレイは手を替え品を替えた演出でなかなか楽しい。ただし決着の着け方は割とあっさりめ。結末は地獄のミサワの「復讐はめちゃくちゃスッキリするが、憎しみしか産まないんだ!」という名文句が頭に浮かんだ。
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