滝和也

銀河英雄伝説外伝/わが征くは星の大海の滝和也のレビュー・感想・評価

3.9
銀河英雄伝説
序章である物語。
ヤン・ウェンリーと
ラインハルト・ミューゼル
の長きに渡る戦いはここに
始まる…。

日本アニメ史上に輝く大長編スペースオペラの金字塔銀英伝の映画化…。

「銀河英雄伝説 わが征くは星の大海」

歴史ものが好きな私にはとてもあっていた作品です。遥か未来、銀河に進出した人類は巨大な星間国家を形成するも、民主主義は腐敗し、独裁者が現れ、帝国化。絶対王政、貴族社会に回帰。その中から民主主義を叫ぶもの達が新しい星域に自由惑星同盟を作り更に数世紀。帝国と同盟の戦争は150年に渡る世界。

この作品はSWの様に帝国が悪く、同盟が正しいと言う作品ではありません。その巨大な戦争に生まれた2人の英雄の姿を描く正しく英雄伝です。長きに渡る戦乱は絶対王政、民主主義双方に腐敗を生んでおり、この作品時点では正しいものはありません。後半は正しい君主が行う清廉なる絶対王政と扇動政治に陥った腐敗した民主主義の戦いになりますが…。

魔術師と呼ばれた若き同盟軍の英雄、ヤンと後に帝国のカイザーとなる若きラインハルトの初めて戦場で相見えるレグニッツァの戦いと第四次ティアマト海戦を描いた今作。まだ二人共才気あれど、無能な上官に阻まれ、艦隊全体の指揮はとれない状況。その中、類まれなる才覚を表す2人の描き方がとても良くできています。会社や社会でも役に立つ(笑)

二人の立場やキャラ、個性が上手くでていますので、この大長編の入り口としては最適だと思います。この二人に三国志の様に味方、仲間が集まり、正に英雄伝となるのはここから。既にラインハルトには幼馴染であるキルヒアイス、後に双璧となるミッターマイヤーとロイエンタールがいますね。ヤンにはまだ味方らしい味方はおらず、アッテンボローくらいですね。既に大将であるラインハルトと准将のヤン。その差と国家の形態、個性の差が後々、彼らを待つ運命を変えていくことを表すには絶妙な導入だと思います。

銀英伝の特徴である音楽は、クラシックメインなのですが、今回はボレロ。宇宙空間に展開される壮絶なる戦闘。華麗な艦隊運動。そこにボレロが重なり、優雅で品がある戦場を描き出します。

できれば100を超える全話を見てほしい。三国志が好きな方、歴史ロマンが好きな方、イケメン好きな方には是非見てほしい(笑)作品です。
滝和也

滝和也