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精霊流しのHKのレビュー・感想・評価

精霊流し(2003年製作の映画)
2.0
歌手のさだまさしが書いた原作小説を後に「利休に訪ねよ」などを撮る田中光敏が映画化。キャストは内田朝陽、酒井美紀、松坂慶子などなど

さだまさしが上京してからの、伯母さんとの確執、友人との友情、彼女との三角関係などを含めて人間として成長していく青春映画。

映画ではたまに”曲”や”音楽”が題材となる映画がありますが、この映画もその類から外れることが無い作品だと思います。恐らく多少の誇張はあるかもしれませんが、さだまさしの生い立ちなどを含めて、名曲である精霊流しが作られる過程を瑞々しく描いています。

ただね…この映画ははっきり言って記憶に残らない可能性の方が高いのではないのでしょうか。うん、絶対に見た記憶が残らない自信があるほどに、ちょっと映画として見ると出来が酷かったですね。

まあ、確かにこういう瑞々しく描く日本の日常とか自然とかを扱った作品は好きな作品もありますが、どちらかというとあまり好みではないスタイルなので突出した何かでもない限り好きになれないです。

そして、この作品はそのような突出したものはほとんどなく、かと言って糞と言えるほどのくそ様子もなく、普通過ぎてみてられない作品でしたね。

ただ、悪い所というか、嫌いな箇所を述べると…
さだまさしの生い立ちを描くべきなのに、伯母さん周りのエピソードは長崎原爆とか出したり、伯母さんの育てた子供の従弟と、ガールフレンドのところはドロドロしていて、テーマがまとめ切れていなかったところが残念でしたね。だから、最後の精霊流しも感動のシーンなのに伯母さんに印象が偏り過ぎて、従弟の方の印象が薄まってしまうのが残念というか、脚本の構成の仕方も雑で残念でしたね。

それに演出面は、僕の大嫌いな邦画独特の物凄い間延びした間の空き方が尋常じゃないです。緊張が緩和して眠くなります。もうちょっと緊迫感ある映画の方がすきですかね。そしてウェットに泣かせよう演出も満載でしたね。泣かせるシーンでは思いっきり悲しそうで壮大な音楽を流す所とかもう典型的すぎる邦画でしたね。

映画としての出来は甚だしく悪いですが、自動車工場あたりの描写は嫌いではないですね。山本太郎さんと椎名桔平、そして石丸謙二郎が良い味出していたと思います。部分的には褒められるところもありよかったですね。

やっぱローカルが舞台なため景色は綺麗でした。それだけです。
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