さうすぽー

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔のさうすぽーのレビュー・感想・評価

4.3
自己満足点 84点

ファンタジー小説の金字塔であるJ・R・R・トールキン原作の「指輪物語」の映画、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの2作目!

前作で旅の仲間と別れてしまったフロドは相棒のサムと共に目的地の「滅びの山」へと向かい、アラゴルンやレゴラス達はメリンとピピンを追い、やがてサウロンの手下達との対戦へと向かっていくストーリー。


濃密なシリーズの2作目であることに加
えて、今回は主にフロドのパート、アラゴルンのパート、ホビット2人のパートを交互に展開されるので、話としては全3部作の中でも難しいという声もちらほら聞きます。
ただ、中盤でケイト・ブランシェット演じるガラドリエルが現在までの中つ国の状況や主要人物(主に旅の仲間)がどういう行動を起こしてるかを説明してくれるので、長くて重厚な内容から胃もたれしたり置いてきぼりにされないよう工夫がされていて、3時間あっても飽きないです。

また、その後に「中つ国の地図」で状況を説明する場面も上手いと思うのですが、これは黒沢明作品のオマージュだと言われています。
実はロード・オブ・ザ・リングの映画は黒沢明作品で見られる演出が時折観られます。
戦いの場面で、丘の上から騎馬隊が一斉に登場する場面等で感じました。


この2作目からは遂に「指輪戦争」が本格的に始まりまして、アラゴルンやレゴラス達率いる中つ国サイドと冥王サウロン陣営の合戦シーンが描かれます。
その合戦の場面が圧巻です!
単に大量の剣劇を見せるのではなく、城の陣地で「敵がどう攻略してくるか」、「それを味方達がどう防衛して倒していくか」が非常に解りやすいです。
例として、城の塀に梯子をかけられてそこから敵の兵士が攻めてきてどう対処していくか、門が壊されそうになってそれをどう守るかという頭脳的な駆け引きが展開されていき、終始ハラハラします。

余談ですが、自分は前作のレビューでアラゴルンを一番好きなキャラクターとして上げました。しかし、「入れ替わりたいキャラクターは?」と聞かれたらオーランド・ブルーム演じるレゴラスになります!
理由としては、アラゴルン組の3人の中で最も強いと思うからです!
エルフの目なので視力が非常に良く、弓矢を引いたらほとんどの攻撃が当たるので、戦闘シーンを観てて爽快です。


一方でフロドのパートは今作はアラゴルンほど目立った展開はありませんが、指輪に取りつかれたゴラムに出くわします。
指輪の誘惑に蝕まれたゴラムと、誘惑に蝕まれながらも強い心を保とうとするフロドを対比させて描いてるのが本作のテーマを突いてる気がします。
ラストシーンでのサムの名言も忘れられないです。
(ただ正直言うと、もう少しフロドのパートに大きな展開は欲しかった)

ガンダルフに関しては少し疑問点もあります。
前作では知り合いのサルマンに頼ったらハメられるし、強いモンスターと戦ったら死んでしまいました。
しかし今回は白いガンダルフとして甦りますが、その分何故強くなったのかが今観ても理解出来ないです。
というか、「実は死んでなかった」としてた方がまだキャラクターの死に重みを感じなかった気がします。(実際ボロミアは前作で本当に死んでしまっただけに余計そう感じる)

あと今観るとゴラムのCGが安っぽく感じてしまいますが、それに関しては20年前の技術ということで少し目をつぶっても良いかもしれません。しかし、合戦の場面がリアルだっただけにもう少しリアルにして欲しかったというのが本音です。


ハリウッド映画の3部作構成の2作目は基本的に中間地点ということもあってどうしても見劣りしてしまう作品が多いですが、今作の「二つの塔」は中弛みを殆どさせてくれないほど面白いし最終作が非常に楽しみになる気持ちにさせてくれる作品で1作目より好きな作品です!