いや、アンドリュー・ニコル監督に求めているものをきちんとクリアしつつ更に先鋭化して行くその姿勢には脱帽せざるを得ない！ 現代高度資本主義社会の「カネ」を「時間」に置き換えただけの風刺映画……として単純に処理してしまうのはもったいないというものだ。それは小道具が良く出来ているからでもあるし、冒頭の富豪を助けるところからアクション映画としても一級品であることを示しているという点に関しても言えるのではないかと思う。思わず「憎い演出だなあ……」と呟いてしまった。点数が『ガタカ』『シモーヌ』より若干低くなるのはこちらが慣れたからでもあるので、そんな細かいことは気にしないで安直な発想に飽きた SF 映画ファンにはぜひ観ていただきたい。ぶっ飛ばされますよ！
