享楽

TIME/タイムの享楽のレビュー・感想・評価

TIME/タイム(2011年製作の映画)
5.0
鑑賞2回目。やはり面白い。
世界観とその設定の面白さだけでいえば、近未来SF作品の中でも飛び抜けて面白く、その上映画全体としても無駄や退屈がない。

寿命をコントロールできるようになった近未来。人類は遺伝子操作され、25歳で人体成長が止まり、そこから等しく1年間の寿命が与えられる。その結果、通貨としての金銭がなくなり、その代わりに人々は「余命」をやり取りして経済活動を行っている。
主人公はスラム(貧困地区)に住むウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は貧困の為、いつも所持している時間(金であり寿命)が24時間あるかないかほど。スラムの人々は日々肉体労働で時間を稼ぐ。
彼もまたその1人だが、ある日クラブにいた自殺志願者の大富豪から105年もの時間を受け取ったことと、その大富豪が語る”この世界での仕組み”(資本主義社会における差別 優劣性 階級)を知り、搾取している側(少数の裕福層)から時間を奪おうとするが…

といったところだ。

冒頭ではスラム街での人々の様子。25歳で成長が止まるので見た目が老人の者はいない。”時間切れ”で倒れ死んでいる人が時たま転がっており、コーヒーを買うのにもバスに乗るにも時間(寿命)を支払うのだから気が気でなくなるだろう。本人にとっての寿命が腕時計のようにハッキリ表示され、それは所持金であり、金を払う時の姿はまるで人間電子マネー。その所為を見て多くの観客が「時は金なり」という諺を思い出すだろう。

スラム街における人々の余裕のなさの演出がまたイイ。ウィルの母は50歳(もちろん見た目は25歳だから変な感じはする)。
労働を終え家のローンを払い、家に帰ろうとバスに乗り料金を支払おうとするが、バス料金が1時間から2時間に値上げされていて、母の持ち時間は1.5時間、つまり支払うと死ぬし、かといい乗らずに家まで歩くのにも2時間かかる。
その状況でバスの運転手は一向に譲歩せず、乗客も見て見ぬフリ。皆時間がないのだから当たり前だろうが、あのシーンは本当に胸に突き刺さる。結局諦め時間を人々に求めながらも無視され続け、最後ウィルと遭遇し時間を分け与えようとするがギリギリ間に合わず死ぬ。私が15だか16のとき観て涙を流したシーンだ。

ウィルという人物の人間性も良いのだが、シルビア(アマンダ・セイフライド)がウィルと出逢って恋に落ち、考え方を変えていく過程も見所。
資本主義社会が生む格差社会を助長しているのが面白い。なんせ金=時間=寿命なのだから、上層部の人間は死にたくないがために時間をできるだけ搾取したがるし、こういう体系制度をスラム街にて設けている(物価と金利が同時に上がる)。

とにかく世界観が面白いこの一作。SFとしても風刺映画としても好きです。