まぬままおま

TIME/タイムのまぬままおまのレビュー・感想・評価

TIME/タイム(2011年製作の映画)
3.8
25歳になると老いが止まり、その後の〈時間〉が通貨になる近未来。
25歳のままであり続けられるなら、老いや身体の不調がないから幸せな世界なはずである。しかし不老不死であり続けられるのは富裕層のみ。貧困層の多くは、負債に終われ余命24時間のその日ぐらしを余儀なくされている。

〈時間〉が通貨になる近未来でありながら、今の金融資本主義社会を描いているとしか思えない。
富裕層を代表するフィリップはバンカーであるし、100万年の時間を保有しているなんて、一生かけても使い果たせないお金を持っている資本家みたいじゃないですか。
そして貧困層は借金まみれにされ、社会福祉は足らず、届かず、物価は上昇し、税金も高くなる様は、今の日本社会のようだ。確かに貧困層の時間=通貨を奪ってしまえば、自由にアクションはできないし、支配しやすい。

そんな社会を変えるために、ウィルは銀行強盗をして、時間の再配分をする。富裕層への時間の蓄積が暴力ーそれは上述のように社会的と形容して、または根源的なものとしてーで成されるならば、取り返しの手段は暴力でしかないのだろうか。リアルタイムで暴力が行使され、富裕層≒権力者への報復がされた状況において、それを肯定することはなかなかできない。しかし富裕層は、メディア・警察・科学技術・暴力団でスクラムを組んで変革を阻止する。やはり暴力しかないのか。いや、暴力とは別の仕方で、抵抗の手段を創造しなければならない。

蛇足1
タイムキーパーからの逃走の方向が車の進行から逆行しているの、時の流れに逆らっている様で上手いと思った。それが冒頭と終盤で反復されているので、意図的なものなのであろう。
そしてウィルと母の最期と、ウィルとシルビアが危機一髪になるシーンも反復して描かれている。こちらは進行と逆行が一点に集中する「今」を描いている様でそれもよかった。

蛇足2
タイムキーパーも富裕層の味方でありながら、その日暮らしの時間しか与えられないのは、皮肉でしかない。