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フライトナイトのhorahukiのレビュー・感想・評価

フライトナイト(1985年製作の映画)
3.9
とっても楽しい青春吸血鬼ホラーコメディ!
ホラー好きで童貞(彼女アリ)の主人公の隣に引っ越してきたのは何と吸血鬼だった!というホラー的にもコメディ的にもテンション上がるナイスシチュエーション。彼女をかけた吸血鬼との(男としての)バトル的な要素もある面白いドタバタホラー映画です♫

あらすじ…
ホラー映画オタクの主人公は心霊番組「フライトナイト」に夢中。ある日、隣に越してきた2人の男が自宅に棺を運び入れているのを目撃する。ホラー好きの血が疼き、何かあるのではと隣を監視してたら、女性の首に歯を立てようとする男の姿を見てしまう。その日から隣に住む吸血鬼から狙われはじめ、周りに助けを求めてもホラー映画好きが祟って誰も信じてくれない。そこで「フライトナイト」の司会者に助けを求めるが…という話。

古典吸血鬼映画をリスペクトしつつも、現代的な青春映画の要素も兼ね備えた良作。吸血鬼は十字架、ニンニク、聖水、日光が弱点という従来の型にハマったものになってます。古典映画へのオマージュも多くて、隣人が吸血鬼だと気づくシーンは『魔人ドラキュラ』だし、棺から起き上がるシーンは『吸血鬼ノスフェラトゥ』。でもガチガチな吸血鬼映画ではなく、コメディとして良い具合に力を抜き、現代的な楽しい青春映画に仕上げてるのが良い。

本作のヴァンヘルシングにあたるのが、ピーターヴィンセントと言うかつてのホラー映画の看板俳優。今は心霊番組「フライトナイト」の司会で「ヴァンパイアキラー」の異名を持つ落ち目の役者。できる奴というイメージのヘルシングとは違い、ピーターは全く頼りにならないのが笑えます。

吸血鬼の見た目も良い。ルゴシやリーのような紳士的な魅力とは違うけど、現代の吸血鬼として、しっかりとした威厳や秘めた力を感じさせる表情と余裕を感じる振る舞い。そして『ターミネーター』のような出で立ちで迫ってくるシーンは、従来のオカルトな不気味さとは違う暴力的な怖さをも醸し出してる。まさに怪物な吸血鬼に、ダメダメな若者(主人公)と落ち目な老人(ピーター)が挑むってのが面白いです。

本作では、吸血鬼と狼男との力関係について「吸血鬼>狼男」という図式が成り立っているのも注目ですね。この関係性っていつからなんでしょう??今でも吸血鬼の方が格上のイメージだし。最初の本格的な狼男映画といえば未見ですが『倫敦の人狼』(1935)だと思うので、映画としては吸血鬼の方が先輩。「狼男>吸血鬼」な映画ってないんですかね〜。
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