やっぱり面白いな!中学生の時に唐沢寿明版のドラマが大流行していて、その流れでNHKBSで放送されたのを録画して見たのだが、冒頭の内蔵がドアップになる手術シーンが中学生にとっては衝撃的すぎて一気に引き込まれた。そして財前が裁かれずに終わる幕切れも衝撃だった。『白い巨塔』と言えば自らも癌に冒された財前と里見の最後のやりとりが特に印象的だが、財前が癌になる展開はバッサリ切られ、裁判の一審で財前が勝訴するところで終わる。ドラマと比べてなんて不条理なんだと感じだが、その後、映画公開当時は全5巻の原作のうち3巻までしか出版されていなかったことを知って納得した。
とにかく、あの長大な原作を2時間半にまとめ上げた橋本忍の功績は大きい。教授選パートと裁判パートを微妙に重ね合わせ、財前が教授選に没頭するあまり検査を怠り誤診に繋がるという展開に原作をアレンジしていて、これによって2時間半の尺内に収めることができている。
この方がその後、その功績と共に幻の湖に沈んでしまうことになるとは、この時誰が想像していただろうか。