はなちゃん

白い巨塔のはなちゃんのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.7
山崎豊子の原作を名脚本家橋本忍が脚色している。面白くないわけがない。リアリティのある手術シーン、人間の欲と正義が相みまう演出、名俳優たちの演技。まさにこれが日本映画だと思う。最後まで正義を貫いた里見教授は日本的な共同体の中からパージされてしまうが、彼より田宮二郎演じる財前五郎に感情移入してしまうのは何故だろう、と感じた。高度成長期以降の日本では会社のような組織に所属して、そこでのし上がってゆく事だけが人生の生きる意味という男が大多数で里見教授のような人間が少数であるため、財前教授のような生き方にあまり違和感を感じない鈍感さが身に付いてしまっているからかも知れない。本当は里見教授のように振る舞ってしまいたいのだけれども…