タカナリ

白い巨塔のタカナリのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
3.8
原作:山崎豊子。モノクロ作品。

国立浪速大学第一外科の教授を狙う野心家の助教授・財前五郎が挑む次期教授選、そして医療ミスによる民事訴訟の様子が描かれています。

全体通して149分と長時間の作品ですが、原作全編は描かれていません。
当時完結していた部分までが映画化されていて、原作では裁判の後も続いてます。

驚いたのが、本物の手術シーンだったこと。実際の手術映像なだけあり、モノクロでも衝撃的なビジュアルでした。
モノクロだから見れましたが、カラーだったら目を背けていたかも。
結構臓器をぐちゃぐちゃとかき分けてましたけど、あんなにぐちゃぐちゃとしていいんだろうか。

主人公である財前ですが、かなりの自信家で、自分の腕の良さに酔ってます。
「自分は天才で、難病患者を何人も救ってきた。だから教授になるのは当たり前」
そのように考えて教授選に挑みますが、現教授の東は財前が気に入らず、別の人物を教授に推薦。
教授になるために財前はあらゆる手を使って支持者を集めるわけなんですが、財前自身はあまり上手くなかったですね。財前を始めから支持してる人達のサポートがあってこそですね。
財前はもっと感謝すべき。

財前が教授選に躍起になっている中、財前が担当した患者が亡くなり、その原因が医療ミスではないかと疑われ、裁判にまで発展してしまいます。
裁判の争点は「財前の手術は適切だったのか」「財前が最後まで診ていたら患者は亡くならずに済んだのか」「病気の特定は可能だったのか」。
これの証明が非常に面白い。財前が大分悪いんですが、当時の医療技術ならではの曖昧さがあるため、100%の断定が出来ません。
どのような判決が下るのか。最後まで分かりませんでした。

最後に財前の悪い所をズバッと言ってくれたのにはスカッとしました。
しかし、財前は変わらんだろうな。
『腕が良い=良い医者』とは限りませんね。