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ビッグ・フィッシュのNAOKIのレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
3.8
日本でも山奥へ行くと未だにとんでもないケモノがいる…「チバシリ」というやつは毛むくじゃらの絨毯を広げたような姿をしていて足がいっぱいついていて山の斜面をすごいスピードで移動する。大人でもこのチバシリに巻かれると命があぶないので、こいつが出たらみんなで追いたてる。チバシリは横にしか走れないのでそれを利用して山のてっぺんへてっぺんへと追い詰めていくのだが、もう少しというところでいつもチバシリはひらっと裏返って山の反対側に逃げてしまう」

まだ息子が小学生だった頃の話だ。
学校から帰ってきた息子からこの「チバシリ」の話を聞いたときは驚いた😁
最近の小学校はそんな面白い話を教えてくれるのか?と詳しく聞くとどうやら学校で仕入れた話ではなかった。

「カワベさん」

息子たちは学校の帰りにどうやらこの「カワベさん」の家で時々道草食っているらしく、時には上がり込んだりしているようだった。このカワベさんがいつも面白い話をしてくれて「チバシリ」はその一つだったのだ。

こんな世の中である…親としてはちょっと心配にもなり…週末、この「カワベさん」を調べに行った🚗

町外れにちょっと孤立した感じの古い家で、前を通ると…ひとりのお爺ちゃんが庭の手入れをしているのが見えた。
おれは犬を連れてたので散歩のふりをしてその老人に話しかけた…
「こんにちは…暑くなりましたね」
「はい、そうですね」
柔和な微笑みを浮かべてそう答えてくれたが、もうそれ以上は話しかけるなというオーラも感じられた。しょうがないのでそのまま通りすぎて近所の玄関の前を掃いていた話好きそうなおばちゃんに話しかけて情報を集めた結果…
カワベさんは古くからここに住んでて数年前奥さまを亡くされてからは独り暮らし…そんなに人付き合いがいい方ではないが、物静かな好い人のようだった。

お菓子も食べさせて貰ったりしてるようなので「いつもお世話になってます。父からです」と言わせて菓子折を持たせたこともある…お礼半分…「ちゃんと見てるぞ」の意味もある大人の嫌らしい付き合い方💦

どちらにしても地域の老人と子供たちが交流を持つことは悪いことではない。おれはその後、この事に口を出すのはやめた。

この映画を観たときすぐにこのカワベさんを思い浮かべた。

ユアンの父を演じるアルバート・フィニーが語る話…不思議なホラ話が素晴らしく、それはつまりファンタジーとリアルのバランスにもなり、ティム・バートンの映画の中でもおれは一番のお気に入りかもしれない。

ラストの涙の心地よかったこと😁💦

数年後…カワベさんは亡くなられたのだか市内で一番大きな葬祭場で行われた葬儀には大勢が参列し、どうやら名士か偉い人だったらしい。

「チバシリ」の話は小学生の息子から間接的に聞いたからシュールな面白さが出たものか?今となっては確かめようもないが、おれはこの映画と同じくらいお気に入りの話になっている😁💦
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