すずき

ビッグ・フィッシュのすずきのレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
3.9
ゴシック趣味の強いダークファンタジーを得意とするティム・バートン(黒)が、一般受けも狙える人間ドラマと真っ当なファンタジーを得意とするティム・バートン(白)に初めてフォームチェンジした作品。

余命幾ばくもない父親を看取る現在と、父親の「ホラ話」として回想される過去を交互に語る構成。
1人の男の人生が、ホラ話を通してファンタジックに彩られていく。
昔話とか伝承、伝説の類いって、こーやって出来たんだろうなあ…とか思いました。
だからtwitterで少々盛られた話を見かけても、安易に「嘘松」なんて言っちゃダメよ。

ティム自身も家庭では、父親と上手く反りが合わず、複雑な心境だった。
やがて父親が亡くなった事をきっかけに、彼も思う所があったのだろう、心の整理をつけるため、この映画を制作したそうだ。
父と子の和解、という普遍的なこの映画のテーマには、ティムの個人的な思いが多分に込められているのだ。
映画という「ホラ話」を、ティムが父親のために、そして自分自身のために語る。
しかし「ホラ話」の中には真実があり、真実はやがて「物語」として語り継がれていくのだ。