親子のコミュニケーションは難しい。
親子なのに?
親子だから難しい。
親の人生なんて興味ない。
所詮自分とは別の人生だから。
巨大魚が金の指輪を飲み込んだ話
魔女の話
巨人の話
幻の街の話
サーカスの話
運命の人との出会いの話
父の話す物語は全てホラ話。
本当の人生がつまらない惨めなものだからそんな空想をするんだ。
一度そう疑ったら全てが疑わしい。
全ての言葉がまやかしのよう。
親といえど自分とは違う人間の人生。
どんな人生だろうが自分とは関係ない。
だが、結婚して妻も身籠り、自分もまもなく父となる今、
年老いて病に伏せる父と話をしてみようとする。
…父の人生は自分と深く関わっている。
知っているつもりでも親のことは意外に知らない。
母より父のことの方が知らないかもしれない。
うちの父とはあまり話をしたことがない。
父がどういう人生を送ってきたのかあまり知らない。
母は父の人生が重くないからだという。
父が認知症になった今、父の言葉で父の人生を聞くことは出来ない。
それでも、
自分を考えるとき、"父"を考える。
父を考えるとき、"自分"を考える。
子供に自分の話をする時、自分はきっと父の話をするだろうな。