神戸典

ビッグ・フィッシュの神戸典のレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
4.5
ウィルは父親のエドワードがどんな時も空想を話す父親の何が本当の姿なのかを知らなかった。
エドワードの容体が悪化し、訪ねた事で父親の書斎からかつて話に出てきた軍からの手紙が出てきた。

父を知る人から人伝いに話を聞く事で次第に父親がどんな人物だったかを知り始める。
エドワードがついに死が近づくと、最後に自分の死に方の話をしてくれとウィルに頼む。
そしてウィルは話し始めた。
病院から抜け出し、川へ向かうとそこにはこれまでであった大勢の人々が待ち構えていた。
悲しい顔をしている人は一人もおらず、皆がエドワードを心から受け入れている。
その光景はエドワードの人生そのものだった。そして彼は川に入り、大きな魚になり泳いで消えていった。
息子が作ったはじめての物語は、父親に似てユーモアがありまぎれもなく親子の絆を描いている。
土葬場では皆がエドワードとの思い出を笑顔で語っている。
死してなおみんなの心と思い出の中に燦々と輝いている事がわかる。

この作品の作りはとても優しく、一つの物語を語り口調で進めている。過去の話と現在の父と子の間の溝を少しずつ埋めていくのは、父親と出会った多くの人々から聞く本当の父の姿。
音楽も優しくいつまでも思い出を漂わせるような作りになっており、最後まで真実と作り話が織り混ざった幻想的な空間に運ばれるような感覚に陥る。

エドワードの若い頃を演じたユアン・マクレガーのカリスマ性を見る事ができた。
神戸典

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