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ホテル・ハイビスカスのKUBOのレビュー・感想・評価

ホテル・ハイビスカス(2002年製作の映画)
5.0
これ以上、沖縄の映画に何を求めよう。我が心の映画「ホテル・ハイビスカス」。

ただ「きれいな海」が好きで「沖縄」が好きと言っていた私に、沖縄の全てをまるっと教えてくれたのがこの映画でした。

まず、なんと言っても「沖縄」そのものを体現しているような、天真爛漫でパワーに満ち溢れた、美しさに恵まれた子「美恵子」。子分の男子を引き連れて、キジムナーを探す旅に出る。いじめっ子に叫んだ「死なす!」って言葉は、当時全くうちなーぐちを知らなかった私にはインパクト絶大だったのを覚えている。この美恵子役の子役 蔵下穂波の天然の魅力がでーじすごい!

また、この「ホテル・ハイビスカス」に暮らす一家のインターナショナルさが、沖縄のチャンプルーさを表していてすごい。長男は黒人とのハーフ、長女は白人とのハーフ、末っ子の美恵子だけが今のお父さんの実の子で、お母さんは同じでも全員お父さんが違うというバラエティに富んだ家族構成。そしてそれを問題として捉えるのではなく、全てを許し、全てを受け止め、家族として仲良く暮らしている、そう、この家族こそが「沖縄」なのだ。

それでも、自分を捨てたアメリカ人の父を許せずに走る長男ケンジと、並走して声をかける米兵の父との間にあるフェンスが、問題の「壁」を表しているシーンは秀逸。

そして、その「ケンジにいにい」を演じているのが、今のNESMITH(EXILE)だったりするからビックリだ!

ラストのエピソードで描かれる沖縄の「お盆」というのも、内地で暮らす人間としては本当に新鮮。家族全員でご先祖様をお迎えするウンケーから、ウチカビを焚いてお送りするウークイまで、内地のそれとは本気度が全然違う。小学生の美恵子はそれを信じずに家出をするが、ご先祖様に出会いマブイ(魂)を落とす。

トイレの神、マブイ込め。ウークイで素直な心で手を合わせる美恵子。本当に爽やかに胸を打つ。

沖縄の映画ならではの、ゆる〜い「間」。内地のようにキチンと作ったら、この独特の空気感は出ない。

照屋政雄、平良とみ、登川誠仁、沖縄の重鎮総出演! 理屈を超えた最高傑作! 私の「心の映画」です。
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