GUMI

エンター・ザ・ボイドのGUMIのネタバレレビュー・内容・結末

エンター・ザ・ボイド(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

好きにはなれないけど凄かった。
気持ち悪いストーリー×映像

一応はハッピーエンドよな………。



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舞台はTOKYOの歌舞伎町あたり。
ドラッグの仲買人オスカーは両親を事故で亡くし、ストリッパーの妹リンダと同居中。
彼はドラッグの売買場所「ザ·ボイド」にて不運にも警察に見つかり射殺される。

親同然の目線で妹リンダの面倒を見てきた彼は、彼女への愛の強さゆえに成仏できずTOKYOの街を彷徨う。
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一文で片付けると、シスコンでヤク中の兄ちゃんが死んでしまい愛する妹の子どもとして生まれ変わるまでの話。
だけどもそんなシンプルな(?)話の内容以上に臨死体験にも似た映像表現に度肝を抜かれた。



のっけから痙攣を表すかのような目がチカチカする点滅具合に、極彩色と各国語が入り混じる映像。
「部屋を明るくしてテレビから離れて見て下さい」の注意書きが必要なオープニングクレジットですね。
このスタートからして他の作品とは違いますよと宣言されている。


POV形式だけど今までの自分の概念にはなかったものだった。POV of POV

最初はオープニングクレジットの延長で映像がチカチカしてるのかと思ったら主人公のまばたきだと気付く。
まばたきでさえも映像で表現するとは…

TOKYOを彷徨う魂の目線でのPOVなので上空から見渡すような映像が8割くらい。
どうやって撮ったんだろうアレは…恐らくは見た目以上にかなりの技術力なはず。
ぐるんぐるんフワフワ飛び回る映像に二重の意味で酔った。




舞台がTOKYOだからって仏教やら輪廻転生まで話題に出して何するつもりなの?どうせヤク中のどうしようもない話なんでしょ??
と、鼻で笑いそうになっていたけど「生まれ変わり」のイメージを表現されてしまった。
「死後に霊魂として漂うとこんな感じだろうか」と、小さい頃に思い描いたイメージと似てる。
さすがにラブホ潜入は想像の範囲外だけど。擬似セックスもできるとは…良からぬ妄想が拡がる(笑)



オスカーの魂が浮遊しながらも走馬灯のように過去の出来事を振り返る。
なかなかに壮絶な思い出と共にTOKYOを彷徨い、最後は妹の子どもとして生まれ変わるという輪廻に入る。

「宗教なんて金儲けのためよ」
なんてことを西洋人が言いのけた上に、この仏教的な結末よ。
映像の浮遊感に弄ばれて掴み損ねそうになったけど、西洋人が仏教的終着に落ち着く話を作るっていうのも斬新。
ドラッグの作用:トリップと絡めるあたりも仏教色強いアジア人はなかなか思い付かなそうだ。


とは言え、仏教的な考え方に則ると彼は人間には生まれ変われそうもない人生だな。その辺はご愛嬌。



妹リンダ役はマッドナースの彼女。
やっぱりやんごとなきおっぱいの持ち主だけど顔はアレ。
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