kyosuke

ショートバスのkyosukeのネタバレレビュー・内容・結末

ショートバス(2006年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ジョンキャメロンミッチェル作品を見ようと思いレンタル。
姓にまつわることの中でもオーガズムをテーマの1つにしているのは少し珍しいかなと思った。オーガズムはフランス語では小さな死と表現される。生き難い日社会の外に出るための場所として、本作では「ショートバス」が存在し、中心となるオーガズムを感じられない女性(ソック・イェンヌ・リー、hewigにもでてる)とゲイで鬱病の青年の物語となる。2人に共通されるのは他人から期待されていること。セックスでオーガズムを感じること、仲睦まじいカップルとなること、そしてそれに対する努力を相手がしてくれていること、それに自分が答えられないこと。他人からの要請に溢れる世界で、自我を放棄できる瞬間を求める人々はセックス、あるいはドラッグへと向かう。青年は以前売春婦(?)として働き、オーガズムを感じてきた結果、他人からの要請の多い現実社会に生きられなくなり、自死の道を選ぶ。結局それは失敗となり、他人の欲望の写し鏡としての自分ではなく、存在そのものを受け入れてくれる男性と出会う。あるいは、オーガズムを感じられない女性は自分のコンプレックスごと昇華され、オーガズムの世界へと漕ぎ出すことになる。その瞬間、世界に光が戻る。これは希望の光か。あるいはオーガズムに目覚めた女性も、いずれは青年のような結末を迎えるのか。オーガズムが希望となるのかどうかについての一貫性があまり読み取れなかった気もする。ただ、女性が神経質に他人を気にする(コンプレックスも含めて)ことをやめて、小さな死に直面する物語としては面白かったと思う。
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