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エッセンシャル・キリングのとぽとぽのレビュー・感想・評価

エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)
3.5
テロリストがアメリカ兵から逃げてお腹の空く84分。セリフもないヴィンセント・ギャロの自然の中で体を張った生存本能むき出しの演技、身も凍る白銀の世界という過酷な環境での体当たり熱演が引っ張る!
これぞある意味最も現実的なエネミーラインだ!まさしく孤軍奮闘、敵地のド真ん中にただ一人モノ。もちろん囚人であるこちらは、軍隊などの「作戦こんなはずじゃなかったのに…」的なものとは意味合いが違うが。審査委員長タランティーノが一作品につき一受賞というヴェネツィア国際映画祭のルールを変えてまで本作に審査員特別賞 & 最優秀男優賞を与えたという逸話に象徴されるように、本作には確かに避けられない、目を背けがたいものがある。
リアル志向ゆえの地味さは拭えないもののパワフル。表現として妥協のない力強さが得も言われぬ熱量で言い訳抜きに迫ってくる。本物でしか伝わらないもの、本物だからこそ伝わるもの。あと、ところどころの所謂シュールというか不思議なコミカルさも見出だせるかも。最後の余韻もなんとも…。完全なるヴィンセント・ギャロ劇場なので重度コアなヴィンセント・ギャロ好きにはオススメ!

P.S. なぜか自分の中でウィレム・デフォー主演『ハンター』とどっちがどっちかゴチャ混ぜになっていたのは内緒。
勝手に関連作『エネミーライン』『レヴェナント』『1917』『ベルファスト71』
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