Goemon

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲のGoemonのレビュー・感想・評価

4.3
小学生の頃、母親と立ち見で鑑賞したことを覚えている。
あのときは言いようのない衝撃を感じて、それを処理しきれないで何日感か過ごした。

「つくりだされた」存在であるミュウツーには「生きている」というだけでは不十分なのだ。
なぜならば、ミュウツーは目的があって生み出されたからである。

そのような環境下で自己のアイデンティティなど確立できるわけもない。
魂ですらつくりだせるのなら問題はなかろうが、体はともかく精神は他のポケモンとなんら変わらないのだ。

例えば「プロ野球選手にするため」にお前を生んだ、と親から言われたらどうだろう。
そこには個人の自由も主張もなにもない。
プロ野球選手になれなければ無価値であるという、絶対条件で生きることになるだけである。

破綻する未来が目に浮かぶ。
生命を自分の思うがままにできるという傲慢さが見え見えである。

本作は子ども向けではないと言われるかもしれないが、全然そんなことはない。
子どもは細かいディテールは捉えきれないかもしれないが、本質は見抜く。
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