スポック

寝ずの番のスポックのレビュー・感想・評価

寝ずの番(2006年製作の映画)
3.5
関西の春歌がいっぱい聴ける。

桂米朝師匠が仕事を辞めて落語家になる決心を師匠の米團治に明かした時に忠告されたとおっしゃっていらしたが「末路哀れは覚悟の前やで」。
芸人には将来の生活の補償など無いし、安定した人生を送れないし、世間からまともに扱ってもらえるなんて少しでも思ったらダメや。
世の中にまったく必要無い、何の役にも助けにもならない落語という自分の好きな芸事をさせてもらったうえに、生計まで立てさせてもらおうなんてことは芸人の道に入った途端に諦めろ。世間の枠からはみ出して常識から外れた人間の吹き溜まりや。
その世間並みを捨てる覚悟の上で厳しい修行と真摯な芸道への想いを持って送る精進の毎日や。

小さい頃から上方落語を聴き続けてきたから理解できる芸人の悪乗りと哀愁を、馴染みのない人にはなかなか楽しめないかもしれない。