イルーナ

マスクのイルーナのレビュー・感想・評価

マスク(1994年製作の映画)
3.9
幼い頃、予告が非常に怖かった作品。
仮面の張りつき方が怖ければ、変身後も怖い……という感じで。
自分の何もかもが上書きされるというのが幼心に恐怖を感じていたのかもしれません。
実際、原作は元々ホラー作品だったと知って納得。
それが金曜ロードショーで放送されるというので、初めて観てみたのですが……

いやこれ、コメディの王道だ!
普段さえない奴が、偶然手に入れた不思議な仮面の力で心に秘めた欲望全開超ハイテンションのスーパーヒーロー(というか怪人?)に大変身。
仮面(ペルソナ)を被ることでそれが引き出されるというのが何だか皮肉ですが、彼女は仮面の下の素敵な素顔をちゃんと見てくれていたという展開は王道で素敵。
この彼女役のキャメロン・ディアスがお美しい。ここからスター街道を突き進んで行ったんだ。
さらに当時最先端のVFXをフル活用して、タズマニアン・デビルばりに竜巻になる、ぺしゃんこになる、目玉や心臓が飛び出るといったカートゥーン表現を見事に再現。
この辺は今観ても古さを感じさせない。本当に自然になじんでいる。
(同じカートゥーン表現でも、スペイン映画の『モルタデロとフィレモン』はやたら不気味だった。この差は一体何なんだろう……?)
ゴムのように伸縮自在の表情は「ジムを使えばCGの費用を節約し仕事を減らせる。実写のままで十分にジムの顔が伸びていたからだ」とスタッフに言わしめた。
ジム・キャリーのプロ精神が凄すぎる……!吹き替えも山ちゃんがハマりすぎている。
クラブでの「Hey Pachuco!」やルンバのリズムで警察達と踊る「CUBAN PETE」といったミュージカル要素も楽しい。
そしてわんこのマイロ。この子飼い主が逮捕されたらずっと追いかけてくるわ、脱獄を成功させるわ、自らもマスク化して窮地を救うわで後半大活躍。メチャクチャ有能で本当にいい子だ。

ちなみに、この仮面の正体は「北欧神話のいたずらの神ロキを封印したもの」。
今でこそ北欧神話はポップカルチャーに定着し、MCUにロキが出たりしてるけど、当時の一般的な知名度ってどれくらいあったのか気になる。
少なくとも私の小さい頃はほとんど見なくて、『ヴァルキリープロファイル』や『魔探偵ロキ』あたりからようやく見かけるようになった気がします。
もし当時北欧神話の知名度が低めだったとしたら、結構先見性のある設定だったということになりそう。
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