OASIS

永遠の語らいのOASISのレビュー・感想・評価

永遠の語らい(2003年製作の映画)
3.5
インドにいるパイロットの父親に会うために地中海をめぐる船旅に出発した母娘の姿を描いた映画。

イタリアのベスベオ火山、ギリシャのアクロポリス、イスタンブールのモスク、エジプトのピラミッドなどなど。
観光地を次々と巡る親子があちこちで歴史や文明、神話についての講釈を聞かされ続けるという、ただそれだけの内容。

開始〜中盤まではずっとその調子で、蒼然とした大海や歴史的建造物などを眺めていると確かに旅をしている気分は味わえるのだが、いかんせん恐ろしく退屈である。
中盤に入っても、今度は場所が船内に移っただけでそこでもまた延々と会話が繰り広げられるのだ。

船長役のジョン・マルコヴィッチや元モデル役のカトリーヌ・ドヌーブらが登場するものの、ポルトガル語やらギリシャ語やら英語やら、多国籍言語が入り乱れての会話がダラダラと続くだけなので勿体無いというか贅沢なキャストの使い方である。

テーブルに座った4人の国籍は違う訳だから、その会話の内容自体にも自国や他国の文化や歴史に対する誇りや憎しみといったような意味が多分に込められているとは思うのだが、造詣が深くないので全くもって興味をそそられない。

と、そんな状態が95分の内85分くらい続くので苦痛で仕方ないのだが、残り10分で270度くらい雰囲気が変わる。
その急速旋回ぶりはあまりにも予想外で、緩い空気を一瞬で吹き飛ばすような衝撃があった。
予兆やら伏線やらをすっ飛ばしてあまりにも唐突にその瞬間が訪れるので、85分の映画に10分の短編が付いた作品なのか?と勘違いしてしまうほどである。

そのラストが映画として面白いものなのか?と問われると即NOと答えられるのだが、あっけにとられる事は間違いない。
全く映画のあらすじを調べずにゆるやかなロードムービーのつもりで観て頂きたい。
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