菩薩

国境の町の菩薩のレビュー・感想・評価

国境の町(1933年製作の映画)
4.3
戦争が引き裂く友情、生まれる細やかな愛情、敵・味方を超えた労働者の団結、反戦、そして革命への過程。国境の町、夢を見る青年達は次々と戦場に送り込まれる中、資本家は軍靴の出荷で大儲けを企む。膠着する塹壕戦、降り注ぐ砲弾と砂の雨、戦地の現実は青年の幻想を容易く打ち砕き、工場に靴の山が築かれる一方、戦地には死体の山が築かれる。町に送られたドイツ人捕虜、収容所から外出許可が出され職探しを始める。彼もまた靴職人、冷たく当たる者もいれば優しき良心を持つ者もおり、そんな人物に拾われなんとか職を得るものの、愛国者集団からはリンチを受ける。二月革命勃発、前線の兵士は戦争終結を期待するが、(ブルジョワ)臨時政府の出した答えは徹底抗戦、碁とは違い勝敗はきっちり付けねばならぬのが戦争である。白旗を振って敵兵との友好を企む兵士を上官のライフルが狙う。そして十月革命、ついに権力はソヴェエトへと集結する、その隊列にはあのドイツ人捕虜の姿も。あくまで喜劇然としていながら、根底には確固たる反戦及び革命賛歌、射ち放たれる機関銃と稼働を続ける工場の機械の先のプロレタリアの勝利、「すげぇ事になった…」、そう呟く兵士の命は、今燃え尽きようとしている。