ヒロ

H storyのヒロのレビュー・感想・評価

H story(2001年製作の映画)
3.7
戦争ダメゼッタイ、一時期禁書と化した「はだしのゲン」を初めて読んだ小2のあの忘れ難い衝撃から始まり、初等教育の段階から徐々に徐々に皆平等に刷り込まれているのは周知の事実。映画や本やテレビなど様々な媒体でもそれは毎年決まってもはや事務作業として繰り返されている、あるフィルターを通した表象物として。今作ではアランレネの『ヒロシマモナムール/二十四時間の情事』と同じテキストを用い現代の違う役者でリメイクするという企画の裏側を撮影している、そして役者がそのテキストを演じることが出来ないリメイク失敗という事実をフィクションとして撮影するという行為が回り回って原作の主題とリンクするというねじれ構造を持った、言うなれば“DNAレベルでの忘却”という原作より更に深層の表象。知識ばかりを蓄積しもはや経験への欲望が抑えきれない戦争を知らない世代、大江健三郎的に言えば「希望、友情、宏大な共生感、戦いの時代にしか存在を許されないそれらのものを知らない、遅れて生まれて来た、そして次の友情の時代、希望の時代のためには、あまりにも早く生まれすぎた」世代が考える歴史が繰り返されるメカニズムにフォーカスした革新的な構成、、、はいいのだが何にせよ長すぎる。あとベアトリスダル×町田康って大クセ©︎千鳥ノブなキャスティングに主題がブレかける。

《諏訪敦彦監督特集》
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