踊る猫

BORDER LINEの踊る猫のレビュー・感想・評価

BORDER LINE(2002年製作の映画)
3.4
例えば同じく「子ども」の鬱屈した内情を描いた塩田明彦『害虫』『カナリア』などを想起しつつ、しかしそういった作品と比べて本作がさほど心に響かなかったのはこの映画が時流の波に揉まれて古びてしまったからだけではあるまい(もっと援交や少年犯罪といったトピックを派手に、生々しく盛り込むことも出来たはずだ)。分かりにくい群像劇を描き切った野心は買う。駄作だとは思わない。だが、例えば青年の親殺しや少女の援交に関して、その背景にある鬱屈した感情を掘り下げることが必要だったのではないか。親との軋轢、閉塞感のある時代への怒り、いじめ問題等など……例えば同監督の『悪人』が傑作足り得たのは、そうしたキャラクターの「動機」を生々しく描いていたからだった。あまり使いたくない言葉だが、「人間」を描いていたと言っても良い。そのあたりが練り込みが足りないように思われた。若書き故の限界か。