あきら

J・エドガーのあきらのレビュー・感想・評価

J・エドガー(2011年製作の映画)
4.0
非常にアンバランスな人を描いた物語なので、これはどの側面で捉えるかで、まったく見方が変わりますね。

FBI創世の物語としては、正直やや不満が残ったりもする。
古き悪しき体制をぶち壊した革命者としては、いささか俗っぽいし、英雄としては受け取り難いじゃないですか。
「私は愛するものに死をもたらすのか」って悲しい。けど、めんどくさい。めんどくさくて複雑で臆病な男が、さらに老害化するのは胸が痛みますよそりゃ。
大きな組織を率いるためには、なんだかんだ言ってもアクが強くて声の大きい人じゃなきゃなのかもな〜みたいな、冷めた気持ちにもなるんですよね。



ただし、ある愛の物語と見た場合には、ひじょうにロマンチックでもあったりしてね。
「良き日悪しき日なにがあろうとも必ず昼食か夕食をいっしょに取ること」これ、ソウルメイトの契約としては、素晴らしいなと心から思います。

栄光も欺瞞も合わせた清濁すべてを知ってくれてる人がいるのは、きっと幸せなことだよなと。
ただ一度のキスがあんなにも苦いものだったなんて…けど、一度も肌に触れることなく添い遂げる、そんな愛もあるのだなと。
彼らはたしかに伴侶だった。たぶん何年後かにこの映画を思い出す時に、思い出すのはこれだと思う。

これイーストウッド作品だったんだ⁈ってのは後で知って驚きました。
あきら

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