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七人の侍の和のレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
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幼い頃に"七人の待"とは一体何なのだろう…と思いに耽っていた頃があります。親父のオールタイムベストに恐らく入っている一本の為、部分的に幼い頃から見ていました。

さて、本作と"ゴジラ"のタメ歳の二大東宝映画は邦画界の中でも形容し難い神の域へ達している作品の様に思えます。
何がそんなにも凄いのか、娯楽であり芸術でもあるという点ではないでしょうか。

3時間超えの長編にも関わらず、物語のダレが一切ないのは映画史上においても珍しい。語られることの少ない前半部では、恐怖や性への渇望、恋に誇りなど人間のあらゆる心情描写が言葉ではなく映像としてエネルギッシュに映されている。最早、前半部だけでも傑作を軽く超えています。

そして、何といっても三船敏郎氏の演技力と即興。個人的には長老と顔を突き合わせるショットの妙。後半の活劇において、黒澤監督の美学が光っていますが三船氏演じる菊千代のカットは監督の力だけとは思い難い。
○でもなく、'た'でもない△という美味しい役柄が輝き、誰でも持っていたであろう無邪気な純粋さに心を打たれます。そんな菊千代の「お前は俺だ」という台詞は観客が菊千代に抱く思いであるようにも思えます。

単なる娯楽映画だと思っている方、逆に難しい時代劇だと思っている方にこそ秋の長い夜を使い見て欲しい名作の一本でございます。
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