凄い迫力で、評価に違わず面白かった。3時間半があっという間で、ずっと観ていたくて、終わるのが惜しいと思ったほど。
武装した盗賊(野武士)から農村を守るために結成された七人の侍。誰もが個性派揃い。農民たちも負けじと個性的。クセ者同士達が団結して野武士から村を守る戦闘劇。
静の志村喬、動の三船敏郎と対比させ、そこに策略通りに動かしたい農民の竹槍集団パワーは地から上へ、騎馬の野武士の無秩序な暴力的パワーは上から下へとぶつかる。そこに個性的な侍と農民が配置され、ダイナミズムにイレギュラーな動きを与え複雑にしている。
黒澤監督が絵コンテに力を入れていたのは有名だが、構図に一切の無駄がなく、映像という動画なのに、あらゆる場面が静止画のように絵になり印象に残る。なのに、激しい動きが伝わってくる。逆に動画から静止画に戻し劇画ができるのではないかと思ってしまう。どれだけ撮影前に絵コンテをイメージの完成形に近づけていたのか。
音の拾い方も初めて聞く音があって新鮮だった。落馬したり、斬られて倒れる人の演技ではない、倒れた時の生の呻き声(う、わ等の呟く声)が入っていてリアルで驚いた。
ただただ感動。映画の醍醐味、ダイナミックさと緻密さの両方を堪能。時代劇の特に殺陣や戦闘は苦手だったが、食わず嫌いだったのがわかった。
三船が主役で七人の中のリーダーかと思っていたら、志村喬がリーダーだった。荒っぽい道化役を演じても華があるのが三船らしい。
当時スクリーンで観た人達は感動しただろうなあ。うらやましい。