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七人の侍のamのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
5.0
非の打ち所がない。3時間半という長さで、誇張抜きで一瞬たりともダレる瞬間がない。全部好き。何もかも最高。映画の神様。
私のFilmarksのスコアリングは、七人の侍=満点 を基準にしている。

この映画の何が凄いって、野武士との決戦に至るまでの前半がめちゃくちゃ面白いこと。
状況説明とメンバー集めにこれだけの尺を割いたら普通だったら冗長に感じてしまうところだが、この映画は一切退屈さを感じさせない。どころか、何回見ても楽しい。
時代背景や状況設定、登場人物の人となりや彼らの背負ってきたもの等が画面上で描かれないような細部まで徹底的に練られていて、更にそれが役者陣の台詞や演技に完璧に落とし込まれているからこそ、全てのシーンが生きている。脇役の村人に至るまで全ての登場人物に、これが映画である事を忘れてしまうほどに命が宿っている。
もちろんシナリオ自体も完璧に面白いのだが、私がこの映画に死ぬほど思い入れてしまう一番の理由は、登場人物達の放つ、映画の枠を超えた生命力に魅了されてしまったから。
特に、"人望"の概念そのもののような島田勘兵衛の存在は、あのセリフの一つ一つや眼差しを思い出しただけで泣けてしまう。私の中で上司にしたい人ナンバーワンの島田勘兵衛。というか全人類が見習うべき男、島田勘兵衛。
彼の言葉・振る舞いから滲み出る思慮深さや温かさ、勇気と覚悟、そして圧倒的な視座の高さは、"かくあるべき"という人間像を私に教えてくれた。簡潔ながらも彼の人間性全てを映し出すような名台詞たちは全部メモして持ち歩きたいくらい。どれだけ考え抜かれたのか、脚本の言語センスにひたすら脱帽。
勘兵衛だけでなく、久蔵の格好良さも勝四郎の瑞々しさも、五郎兵衛のおっとり感も褒め上手の七郎次も、飄々とした平八も、そしてもちろん愛すべき菊千代も、前半だけでみーんなを大好きになってしまう。各々が個性を発揮して農民達を訓練する模様がとても微笑ましい。
そして皆に愛着があるからこそ、後半の戦闘が始まってからの緊迫感が半端ない。
何度も見て結末を知っていても、「頼むから誰も死なないで…!」と本気で願いながら見てしまう。
崩れ落ちる久蔵に駆け寄って泣き叫ぶ勝四郎の姿は私の心情そのものだ。
ああ、いま書いていてもウルウルしてきちゃう。
まだまだ書きたい事があったはずだけど胸が一杯になってきたので一旦ここまで。
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