今回は脇役ばかり追いかけて観ました 黒澤明「七人の侍」
初見は22歳の頃。3年に一度くらい観てますから今回で9回目です。観ながら次に出てくるセリフまで覚えてる次第です。
仲間割れする百姓たちを激昂した勘兵衛(志村喬)が諭すシーンが一番好きですね。前半編終了直前のあのシーンです。
「・・・戦(いくさ)とはそういうものだ」
内輪揉めなどして野武士どもに勝てる筈がない。現代社会の様々な状況にも通じるセリフです。
このカッコいい志村喬の勇姿が数年前、鬼怒川堤防決壊のとき濁流の中に取り残された被災者の方々を 一糸乱れぬ集団行動力で救い出した救助隊の方々とカブりました。
公開から60年以上経った今でも日本人であることを誇らしく思わせてくれる快作です。
今回は侍七人より百姓その他に注目して観ました。
勘兵衛の大喝によって泣く泣く自分の家を諦めた小杉義男はいいですね。
志乃の父を演じた藤原釜足もいいですね。
菊千代(三船敏郎)からアホ呼ばわりされる左卜全もいいです。
髪を無理やり切られるまえにそれを大事に洗髪する 津島恵子の背中は素晴らしいです。黒澤明ほど人間の背中を上手く撮る作家はそうザラにはいません。
野武士に囚われ強引に妾にされた島崎雪子(後に一度神代辰巳監督夫人になるとは・・・)はセリフもないのに何というインパクトか・・・
そして何といっても木賃宿で回りがどんな騒いでいようが黙々と琵琶を奏でる上山草人。日本人ハリウッド俳優の先駆けです。
さらに志村喬登場の重要なエピソードで子を人質に立てこもり志村の策略に落ちた東野英治郎。
それにしても豪華キャストだなあ・・・