ぬーたん

七人の侍のぬーたんのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
5.0
700レビュー。7が付くから『七人の侍』を。
7回観たと言いたいが、実はまだ2回目。
1回目は多分20代の大学生の頃、ミニシアターで。
とにかく長かったし、そこまでは感動しなかったと記憶。
その後何度もまた観ようと思ったものの、なんせ3時間…。
モノクロの時代劇の3時間は勇気と気合が要るわ~と先延ばしにしてたら、かなり時間が経ってしまった。あっという間の人生ね。
だから、初見のような新鮮な気持ちで観れたよ。
年のせいかな?とてつもなく良かった!
迫力あったし、面白かったし、感動した。
若い頃は侍目線で観たと思うが、今回は百姓目線でも観て、七人の侍の純粋さと百姓たちの逞しくしたたかなところがラストで対比され、妙に泣けて来た。
1954年の黒澤作品。さすがの私もまだ生まれてないわ‼
この作品に出てる俳優陣は当時30代が多いが、私にとっては、家族団らんの夜、こたつにみかんで観る東芝日曜劇場かなにかでお爺さん役で出ていた記憶がある方が多いかな。
俳優さんの演技がとにかく素晴らしい。
其々のキャラが個性的で人間的。
初めに引き受けた侍、島田勘兵衛を志村喬。
『生きる』が印象深い。黒澤映画の常連。
黒澤映画21本に出演。他ドラマなど、生涯出演数443本ですと!
温厚で賢い役が合っているがどんな役もこなす、渋い俳優。
役も責任感が強く、チーム侍(勝手に命名)のリーダーとしての判断力と統率力を備える。
菊千代に三船敏郎。
こちらも黒澤常連。
戦争で親と生き別れた三船と、子供の居ない志村は本当の親子のように付き合っていたという。
私にとっては、中年の渋い世界のミフネだが、今作ではまだ30代の若く勢いのある三船だ。
この菊千代という男がとにかく面白い。
おどけたキャラは三船自身のプランだったそうだ。
ふざけてるし、口が悪いし、大酒飲みだし、本人に近い感じもするが。
でも、純粋で気が優しくて情のある男。
愛すべきキャラで、チーム侍の暴れん坊。ムードメーカーと言える。
岡本勝四郎に木村功。
最年少で子供扱いされている。
必死で可愛らしい。久蔵を尊敬し、百姓の娘に惹かれる。
チーム侍のアイドル。今ならジャニーズ。
七郎次を加東大介。
沢村貞子の弟。俳優一家だ。
顔が真ん丸で人が良さそう。
真面目で頼りになる、信頼できる男。
チーム侍の優等生。
林田平八を千秋実。
晩年はテレビドラマでよく見た、人の良いお爺さんだ。
役は明るく大らか。
チーム侍の世話役。
久蔵を宮口精二。
159㎝と背は低いし、華奢な身体だけど、凄腕の剣の使い手がピッタリ。
無口だが、率先して危険な仕事をやる、心優しい。
とにかくかっこいい。
チーム侍の達人。お手本。本当の侍!
片山五郎兵衛に稲葉義男。
あまり印象にない役だし、俳優さんの印象も薄い。
テレビドラマでは脇役としてかなりの数出ているが…。
役は賢く経験豊富な侍。腕試しもすぐに見抜く。
チーム侍の参謀。とでも言うか。
一方、チーム百姓の方も個性的な面々だ。
特に左卜全は、面白い歌(やめてけろ♪パパパヤー♪)歌った爺さんとして永遠に顔を忘れないが、演技も真に迫ってた。

この作品に関しては何を書いてもヤボになりそう。
代わりに七人の侍の俳優たちの最期を。
①加東大介…1975年7月  64歳 
②木村 功…1981年7月  58歳 
③志村 喬…1982年2月  76歳 
④宮口精二…1985年4月  71歳
⑤三船敏郎…1997年12月  77歳
⑥稲葉義男…1998年4月  77歳
⑦千秋 実…1999年11月  82歳
作品とは大分違う順序だった。
木村功が早過ぎた死に残念な想いだ。
三船の命日は12月24日。
セリフがないけど恐ろしい形相が印象に残った利吉の妻役、島崎雪子は健在のようだ。

来年は1000レビューを目指したい! 
ぬーたん

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