優しいアロエ

夕陽のギャングたちの優しいアロエのレビュー・感想・評価

夕陽のギャングたち(1971年製作の映画)
4.4
「俺にとっちゃあ家族が国なんだ」

「ドル箱三部作」に続くセルジオ・レオーネの3作は、「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」とも呼ばれているらしい。その2作目にあたる本作は、革命期のメキシコを舞台にしている。

『続・夕陽のガンマン/地獄の決闘』でも描かれた奇妙な関係からいつのまにか生じる「男たちの友情」は更に補強され、加えて戦争色・政治色も格段に強まっている。

革命というのは同じ信念を持つ者たちによって起こされるものだと思っているが、この常識が山賊フアンの存在によって揺らぐ。字も書けず政治に関心がないフアンはなぜ革命に参加したのだろうか。

それは間違いなく友情、あるいは仁義のようなものからであろう。別に特別馬の合う2人ではなかった。しかし、戦争という極限の状態で「AかBか」と選択を迫られたとき、人は他人を助けるほうを選んでしまうのではないだろうか。少なくともフアンはそういうやつだった。

そして、本作は戦争に対峙する人々の心理をよく描いていた。「心にどう折り合いをつけて革命に臨むのか」という『プライベートライアン』とも近いテーマ。
 加えて、戦争を生き延びてしまった人間に待ち受ける悲劇である。これは「お前が死んだら俺はどうすればいい」と声を漏らす幕引きのフアン、そしてアイルランドでの紛争を戦い、生き抜いたジョンの回想から強く感じた。

テンポの悪さを感じる場面もあったが、「ドル箱三分作」よりは断然素晴らしく、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』への期待もガンガンに上がった。
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