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白いリボンのNMのネタバレレビュー・内容・結末

白いリボン(2009年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

2010年の作品。鬼才ハネケが各賞を総なめにした、まさに普通の人には作れないような映画。

作中の白いリボンとは、子どもが清く正しく行動できるよう祈るおまじないのようなもので、髪や腕に結ぶものらしい。

この村は、みんな質素だが清潔感のある整った身なりをしている。清貧や貞潔を重んじる厳格な宗派らしい。
だが誰もがその厳しさに耐えられるとは限らない。

村の教師の語りで物語が進む。
その日教師は、放課後数人の子どもたちが家ではく別の場所へ向かうのを見かけ不思議に思った。どこへ行ったのだろうか。

馬で村にやってきた医師が、何者かが仕掛けた細い針金に引っ掛かり落馬し重症になる。犯人は分からず終い。
現場には生徒のクララやマルティンもいた。

その夜、あの何人かの子どもたちの帰宅はとても遅かった。
牧師の子である二人のきょうだいクララとマルティンは、その理由を言わなかったため体罰を受ける。この父はかなり厳しく、二人は相当の恐怖や怒りを抱えている様子。だがそれを打ち明けられる人はいないようだ。

小作人一家の妻が作業中の事故で死んだ。その息子は家令のせいだと恨む。収穫祭の日、楽しむ村人たちをよそに、畑をめちゃくちゃにした。一家は収入を失ってしまう。
息子はほどなく釈放された。しかし後日納屋の火事騒ぎが起き、一家は母に続いて父も失う。

冒頭の医師が回復して仕事復帰する。
妻を亡くしてから、部下の助産婦を長年はけ口にしてきた。
本当は14歳の娘にずっと欲情を抱いており、彼女が成長してきたのを見ると、助産婦に酷い言葉を投げつけ追い払おうとする。
助産婦は未亡人で、障害のある子を抱えていた。

その晩男爵の幼い息子が姿を消した。村人総出で探すと血だらけで逆さづりになって見つかり、担架で運ばれた。
男爵は犯人が見つからないと村に平和はないと言い残し、一家は冬のあいだ別宅へ移る。
医師の事件と、男爵の息子の事件で、村人たちの間に不信感が明確になる。

続いて助産婦の息子も縛られ暴行される事件が発生。ついに警察が呼ばれたが結局何も分からない。

それを予知していた少女が一人いるが、誰も信じず、その真相も不明。

後日助産婦は、犯人が分かったと一人警察へ向かい、そのまま戻らなかった。療養中の息子も家にいなかった。目を怪我していたので一人では歩けない。

医師は「当分休業」と張り紙を残して姿を消していた。

教師は、あの日の放課後からおかしなことが続いていることに気付くが、子どもたちは何も喋らない。親である牧師は聞く耳を持たず怒り、かえって教師を心が病んでいるとレッテルを張る。
牧師は、帰りが遅く理由を隠したり、息子の顔色が日々悪くなる様子や、小鳥の件などを知っていたはずだが。

やがて教師は結婚し、そのうち戦争が始まり、全てはうやむやになったようだ。

「それは違うわ 子どもはいつも難しい年ごろなのよ」

ダークファンタジーのようでも自然主義のようでもあり、終わり方もとても好み。ああいう結末なのに、なぜか観終わるとすっきりした。
長いが無駄もない。
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