2004年にカンヌで賞を取っているのですね。
ほとんど情報を入れずに見始めたので単なる恋愛映画、あるいはSF映画なのかと思っていましたが、最後にニュースが読み上げられる場面でようやく気づきました。
これはとても政治的な映画なのですね。
それを恋愛やSFというオブラートに包んで寓話的に表現しているのですね。
監督は生まれは上海で中国本土ですが、国籍は香港らしいのでこういう物語が生まれたのでしょう。
キーワードとなっている2046は、映画の中ではホテルの部屋の番号になっていたり、あるいは劇中に描かれる小説内の架空の都市のようにもなっていますが、これは「2046年」というのを直接表現することを避けるためなのでしょう。
香港にとって将来訪れるこの年は非常に重要な意味を持っています。
すでに1997年に英国から中国に返還されている香港ですが、返還の時の条件に、50年間は香港の自治を認めるということがはいっています。その自治権が切れる期限が来るのが2046年なのです。
このことを頭に入れて物語を反芻すると、全く違うストーリーが見えてくる気がします。
小説を書く元ジャーナリスト、日本人のビジネスマン、娼婦、賭博師、過去の恋人、シンガポールの富豪、
また小説の中で語られるアンドロイド、言論統制のため木に秘密を打ち明けるエピソードなど、謎解きをしながら見るのも面白いかもしれない。