イチロヲ

帰らざる日々のイチロヲのレビュー・感想・評価

帰らざる日々(1978年製作の映画)
3.5
父の死亡通知を受けて、6年ぶりの帰郷を果たすことになった青年(永島敏行)が、高校時代を回顧していく。中岡京平著「夏の栄光」を原作に取っている、青春映画。音楽担当はアリス。日活ロマンポルノの精鋭部隊が製作に関わっている。

現代パートと過去パートを往来させながら、長野県飯田市を舞台にしたノスタルジーを描いていく。年上の女性(浅野真弓)とその従兄弟(江藤潤)を絡ませた、奇妙な三角関係のドラマが主軸。オッサンが高校生を演じているため、随所で笑いを誘われてしまう。

正反対の人間性をもっている江藤潤に反発しながらも惹かれていく場面、高倉健の映画を鑑賞した主人公が背伸びする場面、竹田かほり(「桃尻娘」公開直後)に誘惑される場面など、童貞君の痛々しいジタバタ劇を堪能することができる。

離婚騒動の渦中にいる両親を目の当たりにしているため、旧友の結婚を素直に喜ぶことができず、ネガティブな言葉を無意識的に発してしまうところが白眉。先述したニセモノ高校生がノイズになってしまうが、ガラスの心を描いた群像模様は見応えあり。
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