にゃんにゃん

早春のにゃんにゃんのレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.2
池部良目当てで鑑賞。岸惠子の嫌な女っぷりが凄い。対する淡島千景の疲れた妻っぷりも。そして人生経験計り知れなさすぎる淡島千景母、浦辺粂子が素晴らしい。女優がみんな魅力的。池部良を「ジェラール・フィリップみたいないい男」と評する台詞に全力で禿同。なのにくたびれたダメサラリーマン役がハマっている。身を焦がすような恋愛の果てに結ばれたのであろう夫婦が、子供の死というおそらく身の凍るような苦しい体験を経て、倦怠しきる。他方、妻持ちイケメン略奪ってシチュエーション萌えでキャピキャピする浅い浮気相手。そんな中、悲しい経験をもうひとつ重ねて再生を志す池部良。その浮き草感の裏側が少しだけ垣間見えた終盤は泣けてしまった。旦那の浮気、というある意味単純な夫婦のストーリーをこれだけふくらませられる小津はやはり凄い。夫婦ってこんなだよなぁ。
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