dita

早春のditaのレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.0
@神戸国際松竹 ~小津4K特集上映~  

今年の新作映画と言われても違和感を感じないくらい現代に通じる話。世の中の不倫カップルはコレ観たら慄くんちゃうか。岸恵子の小悪魔っぷりも見事やけど淡島千景の美しさの中に際立つ怖さがたまらない。「歴史は夜作られる」はい、名言いただきました。

金魚がスギに迫るシーンのエロさが素晴らしかったので見習いたいし、昌子の許すまじという怖い怖い目も見習いたいし、杉村春子の近所のおばさんとしての安定感も見習いたい。総じて、この頃から女性は決して男性の後ろを歩くだけじゃないというのがよかった。でもラストはやっぱり喪失からの再生なわけで、ここは小津の譲れないところやったんかなぁ。こてんぱんバージョンも観たかった気もするけど、それじゃ小津じゃなくなるからあかんか。

朝の上映やったからか知らんけど客席が人生の先輩ばっかりで、先輩たちは140分越えの作品でも元気よく観ていらっしゃったからすげーなと思ったけど、そんなに混んでいない客席で両サイドをがっちり固めてこられたからこれから朝上映の席は慎重に選ぼう。
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