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早春のyoko45のレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.4
 正二(池部良)と妻昌子(淡島千景)の会話と距離が何とも言えません。複雑な心情、きわどい感じが繊細で味わい深いです。先輩や仲間たち、人々の言葉が温かくて心地良くもあり、乾いていて悲哀もあり。
 戦友、子どもの早い死、近所づきあい、服装、煙突、汽車、時代を感じますが、男女関係、夫婦関係、自営業とサラリーマンがお互いに抱える不安と人を羨ましく思う気持ちは時代を感じません。電車通勤仲間のキンギョ(岸恵子)のような性格の持ち主も・・いるのですね。
 転勤、東京から岡山へ、夫婦のやり直し、再出発、でも春がめぐってきたというには少し早い、今も昔も変わらない人の営みを戦後10年、60年以上前の映画に優しく教えられたような気がします。
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