早春の作品情報・感想・評価・動画配信

「早春」に投稿された感想・評価

役者さん全員がすごくいい
笠智衆は一瞬出るだけでも一気に締まるな
ヒューマニズムなんて、窮屈なんだ。そんなもんなんだ。

疫痢で子供を失って以来、冷え切った夫婦関係、そこに差し込む横恋慕の誘惑。
不倫に揺れる夫婦の迷いを主軸に描きながら戦後日本に蔓延る虚無感、どこかやさぐれているサラリーマンの日常を映し出した昭和30年代の現実。

「麦秋(1951年)」「お茶漬けの味(1952)」と毅然とした態度でヒロインを支えてきた淡島千景が妻役に。家長制度が色濃く残る時代で、凛とした女性的な強さと見え隠れする弱さを演じ分けている。

仕事の同僚達と麻雀やらうどん会やらで毎日のように集まって愚痴垂れてる姿が昭和っぽくもあり今っぽくもあり面白かったな。岸惠子の衣装といい小津作品の中ではトレンディな香りがする作品です。

※好きだった掛け合い
「一日中縛られてんだもんな、格子無き牢獄だい、朝も早から電車に揉まれてさ」
「会社行きゃ嫌な課長がいやがるしさ」
「サラリーは中々上がらねぇしな」
「ボーナスはなかなか出しやがらねぇしさ」
「しょうがねぇからうどんでも食うか」
「黙々とな」

このレビューはネタバレを含みます

尺が長くなり、このような演出も可能ですよという感じが前面に出ている。喜劇としても非常によくできています。淡島千景の佇まいの凛々しさに並ぶ者はいない。
#2020 記録
良かった
TM

TMの感想・評価

4.0
奔放な岸恵子さんとキリッとした淡島千景さんの美しさが存分に生かされていて、見応えがありました。

最初に産まれた子どもが亡くなったという事で、
夫婦間にも少しだけ倦怠感があって、サラリーマンとしての人生の悲哀を嘆いてみたり、
同僚の死だったり、旦那さん自身の心の影も感じさせる内容でした。

ラストは流石にこうなるしかないか、とは思いましたが、
うどん会の妙な説得力だったり、問題をちゃんと提起していて、考えさせられる一作ではありました。
握手のシーン!!の直後にボートが速すぎてめちゃくちゃ笑った。
白

白の感想・評価

1.5
シネマの一回性を損失した作品。
全然興味なくて集中できませんでした。
小津安二郎作品の娘の結婚と父親みたいなテーマものを多く見ていたので、変化が楽しめた。驚いたのは当時(1956?)の蒲田とお葬式でも流れる、いつもの軽快なテーマ曲的な音楽だった。
小津作品というのは、何とはない市井の人々の暮らしの中に、埋もれるように咲く小さな雑草の花のような幸せを描くのがいい、という自分勝手な価値尺度があるので、この作品はあまり好きではない。生々しい不倫やラブシーン(と言っても現代から見れば極めておとなしいが…)は、リアリティはあるが、おとなしく、ありふれているし、他の誰かでも撮れそうに思えてしまう。
小津の意図なのか、製作会社側からの指示なのか、ラストの着地点も納得がゆくものではないし、『お茶漬けの味』にしても『めし』にしても同じようなラストへの展開は、当時の文化や価値観に作り手が迎合してしまっているような印象がある。あるいは、至極当然とされていた徳、価値観であったということか…
仁丹体温計や月桂冠のネオン広告、当時の満員電車」丸の内のオフィス街、グループハイク、都会でも行われていた田舎の青年会のような合掌等々、当時の東京の習俗は活き活きと描かれていて史料として興味深い。
池部良と岸恵子の為に無理して作ってしまった作品という感は否めない。
>|