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サンタ・バルバラの誓いのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

サンタ・バルバラの誓い(1962年製作の映画)
4.0
No.391[ブニュエルとか好きそうな題材だね] 80点

南米映画でパルムドールを受賞した数少ない作品。だが、その年のアカデミー外国語映画賞はブールギニョン「シベールの日曜日」に取られている。確かに結構好きな映画だし主人公の奥さんも綺麗な人だけど、パトリシア・ゴッジには負けるよね。

飼っていたロバが瀕死だったため神に"治ったらデカい十字架を背負ってサンタ・バルバラ寺院に毎日歩いて行きます"との誓いを立てた若い農夫。十字架を背負って歩くのはキリストに対する冒涜ととる神父には相手にされず異端と罵られるが、新聞記者によって"新しいキリスト"と紹介されたせいで祭(かなんか)に集まった人民に晒され、次第に騒ぎが大きくなっていく。

この手の宗教批判はブニュエルっぽいんだけど勿論彼の映画特有なねちっこい変態が登場せず、画面自体は晴れたブラジルの乾いた空気のように謎の清涼感に包まれている。あと、主人公の名前が"ゼ"ってのは「シティ・オブ・ゴッド」のアイツっぽいね。

騒ぎを警戒した神父は管区長に相談するが宗教側として結論は出ない。教会に入って誓いを完遂したい農夫は扉を蹴破ろうとするが失敗し亡くなり、その遺体は十字架に乗せられて教会に運び込まれる。最後階段に残された奥さんのショットは結構好き。

この年のカンヌコンペ組はアントニオーニ「太陽はひとりぼっち」とかブニュエル「皆殺しの天使」とかブレッソン「ジャンヌ・ダルク裁判」とかヴァルダ「5時から7時までのクレオ」とか凄い面子なのに、この映画にあげるのは流石に理解しがたい。途中の民族音楽んとこで驚いたってだけでは。
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