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詩人の血のpikaのレビュー・感想・評価

詩人の血(1930年製作の映画)
4.0
初コクトー。
詩は全く嗜まないので、一口に詩といっても色々あるだろうそこら辺よくわからないんだけど、詩の映画というよりシュールレアリズムだし、「アンダルシアの犬」を引き合いに出すと言うよりは後期ブニュエルのシュールレアリズムのようだし、奇想天外な映像と展開のノリはホドロフスキーっぽい。

破天荒なシュールさで次に何が起きるのかとワクワク楽しめるし、アイディア駆使した特撮は大好物なのでビジュアル面でも最高に面白い。

正解の楽しみ方かわからないけど終始クッッソ笑えた。
途中に何度か場面の説明をしてくるけど説明内容はこれから起きる、見てればわかるものでしかなく「それは一体何なのか」というのはスルー。笑
なんで!?笑
全体的に妙なテンポで、杖ついた老人までは行かないけど負傷した一般人レベルの1、2テンポズレてる感じが個性的。
フワッと眠気を誘いながらも強烈な展開とビジュアルでハッ!とさせる不可思議な間がジワジワ笑えてくる。

シュールな前衛芸術映画は考えるな感じろ映画とよく言われるけど、こういう映画は個人的に感じて考えろ映画だと思っていて、楽しんで考えて繰り返し見て、その度新しい発見があるという七色に変化するご馳走みたいで大好物。

、、、なんだけど今作は親切丁寧にも冒頭で「詩は紋章、解読するには詩人の血と涙が必要」とか何とか解釈する気が失せる文言から始まっていていい意味で力が抜けた。笑
頭使わずリラックスしながら、ぶっ飛んだ展開と強烈なビジュアルをそのまんま楽しんでしまった。
多分コクトーの意図するところはそうじゃないんだろうけど。笑
好きですこれ。
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