もものけ

マイアミ・バイスのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

マイアミ・バイス(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

マイケル・マン監督が大好きなんです。
定期手に鑑賞しております👍

マイアミのセレブ階級が集うパーティーで取り引きされる中南米の麻薬組織を追う為に、マイアミ・バイスのチームが潜入捜査を始めるが、姿を見せることのない麻薬組織のボスになかなか辿り着けないソニー・クロケットは、組織の運び屋として相棒のリカルド・タブスと共に組織へ近づくのだが…。


感想。
80年代ヒットしたTVシリーズを映画化するイメージなのか、高画質のハンディカムでデジタル撮影する手法を用いた、当時は珍しい映像作品ともなっている刑事ドラマ。

コリン・ファレルが演じるイケメンお洒落な刑事ソニー・クロケットは、TVシリーズのドン・ジョンソンとはまた違ったセクシーさで、カッコ良さ抜群の配役。
独特な髭のシルエットがセクシーな、刑事リカルド・タブスを演じる歌手ジェイミー・フォックスもハマり役で、二人はTVシリーズに引けを取らないインパクトを持っていて、個人的にかなり良かった印象です。
この二人がスーツ姿で並んだ横顔のカッコ良さは、ハンパないです。

行楽観光地マイアミの影に潜む麻薬組織の存在を、シリアスなドラマ仕立てで演出しながら、組織の女と刑事であるソニーのラブストーリーもある、極上のエンタテインメント。

デジタルカメラ独特の映像は、フィルムとは全く違った個性を放っていて、フレームレートの多さから安っぽくも見えますが、マイケル・マン監督のセンスの良いカット割で、綺羅びやかなマイアミの夜景と役者の融合が魅せる新しい映像美で盛り上げてくれます。

出だしから売春組織の囮捜査中に情報屋からヤバい電話があり、混乱する捜査官達と切迫した緊張感のある演出で、観客も意味不明な自体でありながら、その緊張感はバリバリ伝わる手法が素敵です。
マイケル・マン監督は、アクション・シーンのこだわりは業界一で、空砲を使った実銃と実弾の音声を混ぜた映像で、重々しい銃の音と鈍く当たる銃弾の火花で、生々しいリアルなガン・アクションを演出します。
この緊張感の中で起きる本物のアクションが、より効果的に使われております。

TVシリーズでは本物の警官がガン・アクションを指導したらしく、片手で銃を持ちガンガン突き進むいい加減なアクションに慣れた日本人がド肝を抜いたエントリー時のリアルさが売りでしたが、映画版も様々な銃火器を用いて、両手で持ち先を確認し合いながら行動する捜査官のリアルさがなんとも好きです。
TVシリーズのファンの間では映画版は、物足りないらしいですが私はワイルドなイメージに変更されたソニー・クロケットも嫌いじゃないです。

刑事なのにフェラーリをかっ飛ばして捜査をするソニー・クロケットがまたいいのです!
音響効果も抜群で、迫力満点でございます!!

確かにTVシリーズのヤン・ハマーのテーマ曲が流れる日曜日ではないので、そこは残念な点でもあります。
あの哀愁あるマイアミ・バイスのテーマ曲がかかる日曜日の放映時間が毎週楽しみの一つでもありました。

個人的にはTVシリーズとは別物と捉えているので大満足でございます。

"黄金の三角地帯"に並ぶコロンビアからアメリカ合衆国へ流入する"マイアミ・ルート"と呼ばれる南米の麻薬カルテルの恐怖を描いております。
上層部の徹底した秘密主義や、ハイテクを駆使した取引や諜報戦など、さながらスパイの世界をイメージした駆け引きで中々近づけない組織のボスの存在が不気味です。
CIAが共産主義国を崩壊させるために軍事顧問として派遣された南米各地で、麻薬カルテルからリクルートを受けたり、潤沢な資金に目が眩んで犯罪組織と組んだりした成れの果てで、当時の麻薬カルテルの構成員は農民から政府軍事顧問まで取り込んだ巨大な悪の巣窟と化しており、現代のメキシコ麻薬カルテルの前哨でもある様子が不気味に描かれていて、単純な刑事ドラマではないリアルさがあります。

ド派手な演出と、キャラクター達の背景での葛藤や、銃器マニアが飛びつくようなカスタム仕様の武器がオンパレードな描写で、近年流行りの麻薬カルテルを描く作品のパイオニア的存在となります。

レーダー網の盲点をついた並走した機体のゴースト効果で運ぶ密輸シーンや、素性がバレたら一巻の終わりというハラハラするサスペンスと、女好きソニーがハマる危ない愛の物語など、人間ドラマなどにも視点を与えていて、面白いです。
ソニーがハマる"モヒート"というカクテルを初めて知った作品でもありました。
"モヒート"を飲みに高速ボートで国境を越えてハバナへ行くお洒落な描写がまたそそります。

ねっとりとしつこくポルノ映画のように演出するラブシーンの長さが特徴的な監督ですが、目に涙を浮かべながら演じる女性との絡みで、"愛"を表現するマッチョな思考のマイケル・マン監督。
その辺はTVシリーズ出身の監督らしく、個人的にはチープでわざとらしく男が好きそうな演出は、映画の質を低下させてはいますが、ラストシーンへのソニーの想いへ効果的に使われている不思議さ。
この危険な愛が不思議とカッコ良さに溢れております。

刑事ドラマとして面白いのは、全くしっぽを掴ませない麻薬カルテルに潜入しますが、手柄を挙げたいFBIやATFなど様々な機関が連携しながら出し抜く為に、いつ身元がバレて殺されるか分からない潜入捜査の恐ろしさがひしひしと伝わる演出でした。

地味ではあるので、割と評価は低いですが個人的には大好きな作品の一つであります。
5点を付けさせていただきました!!
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