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アクシデンタル・スパイのtjZeroのレビュー・感想・評価

アクシデンタル・スパイ(2001年製作の映画)
3.6
冒頭、工事用クレーンを活用した大がかりなアクション・シーンがあり、「なんだよ、『カジノ・ロワイヤル』のパクリかよ」と思ってたら、本作の方が5年早かった…失礼しました(笑)。

その、「なかなかやるじゃん」って思いが、観る前の「今世紀のジャッキー・チェン作はイマイチなんじゃないか」という危惧をいい方に裏切ってくれて、快調な出来でした。満足しました。

もちろん、’7~80年代のようなジャッキー全盛期のフィジカルではないので、アクション場面にねばりが無く、アッサリとはしているのですが、ひとつひとつの見せ方に工夫があり、飽きさせません。

エレベーター内の狭さを利用した緊張感のある格闘、刑務所内の病室での医療機器の電気ショックによるバトル時のカクカクとした動き、7~8台のタクシーに円く囲まれたスペースでの敵複数との戦闘…という風に、パッと今思い出すだけでも趣向に富んでいます。

特に中盤、イスタンブールに舞台が移ってからの、殺し屋に追われてトルコ名物の浴場から裸で逃げ出したジャッキーが、”志村けんのバカ殿”ばりに前を隠しつつ、香辛料だのショールやベールだのといったその土地ならではの小道具を上手に活かしてくり広げる逃亡&格闘シーンは、笑いとスリルが程よくミックスされていて、感心させられました。

そして、クライマックスでは本筋の悪漢退治の後に、『スピード』ばりの大カーアクションまで付いてくるサービスぶり。
こういった観客への献身の姿勢が、粗くて強引なストーリーの欠陥を充分にカバーしています。

エンディングのいかにも続編がありそうな終わり方は、ジャッキー版の『ミッション:インポッシブル』シリーズにしたかったのかなあ…という意図が感じられます。
今の所そうした発展はないようですが、自分は上に述べた通り、本作単体としてかなり楽しませてもらいました。
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