みんと

ヴェロニカ・ゲリンのみんとのレビュー・感想・評価

ヴェロニカ・ゲリン(2003年製作の映画)
4.0
不謹慎を覚悟で表現するととても映画的な実話作品だった。そしてとても見応えのある作品だった。

こう言う作品を観ると、人は何かしらの使命を持って生まれて来るのだろうと思う。
その大小は様々だけれど、生まれ落ちた時点で備わっているかとさえ思える。

通してケイト・ブランシェットが適役過ぎるくらいハマってた事もあって感情移入しっぱなし。もはやヴェロニカ本人が乗り移ってる。
採算にわたる暴力にも屈せず、ともすれば死んでもおかしくない状況に見舞われようとも決して諦めない精神力、突き動かす正義感とジャーナリズム、その並々ならぬ勇気と根性には頭が下がる。

少年少女までもが犠牲となる麻薬汚染の実態、一方で不法取引で得たお金では富を肥し放題、すっかり野放し状況。
一体何処までが実話だろうか?…
いやかなり信憑性を感じる内容だった。

こう言う人のお陰で知る事が出来、改革にも繋がると思うと命をかけた取材で得た情報が果たして正しく伝えられているのだろうか?…今やフェイクや印象操作が蔓延している(と思われる)報道の在り方に些かの疑問を感じると共に受け取る側の責任さえ感じたり…と発想が飛ぶ。

立ち去る勇気と立ち向かう勇気然り、たくさんの隠喩的なセリフが尽く効いてる。そして音楽効果も勿論、結末へと刻一刻と迫ってる緊迫感と言い、実話のそれとは大きくかけ離れてさえ感じ、事件そのものが頗る映画的に思えてしまう。

一人の女性の勇気が確かに国を動かし、ひいては法の改正にまで至った。
ヴェロニカの死は決して無駄死にではなかったのがせめてもの救いである一方、年間で命を落とすジャーナリストの数にはやはり言葉がない。
みんと

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